「独り暮らしのお年寄りが集える場所を作りたい」「食物アレルギーに対応した子ども食堂を開きたい」……。地域や社会のために何かしたい、チャレンジしたいコトがあるのに、「どうしていいのかわからない!」というモヤモヤを抱えている人はいませんか?
そんなみなさんがはじめの一歩を踏み出すために、コープしがでは「できるコトづくり制度」を開設しています。この制度では全3回で活動の始め方、団体の立ち上げ方などを学ぶ「できるコトづくり講座」、資金面から活動を援助する「助成金」の2つのサポートを実施しています。
今回は、コープしがの「できるコトづくり制度」を利用して、学校をお休みしている子どもたちへの活動をスタートさせた東近江市「きゅるあ」の活動をレポートします。
「私たちのいちばんの願いは、人生を楽しんでいる大人の姿を見て、子どもたちに『大人になるのが楽しみだな』と思ってもらうこと」という、みんなのもうひとつのおうち「きゅるあ」代表の山本美佳さん。山本さん自身も過去に職場への行きづらさを経験し、同じ境遇に置かれた子どもたちへの支援を決意したんだそう。2019年10月にキュルア(現在はきゅるあに表記変更)を立ち上げ、学校をお休みしている子どもたちとご家族の居場所づくりを始めました。
「始めて2ヶ月ほど経った頃、1人の男の子が来てくれるようになり、バドミントンやボードゲームをしたり、一緒におにぎりを作って食べたりして過ごしました。そんな日々が私自身の心の栄養にもなり、お互いに元気を取り戻す時間となりました。彼は今、働きながら高校に通っていますが、当時の体験から得た学びが、今に繋がっています」。
一方で、なかなか参加してもらえない2人の子どもたちのことが気がかりだったと言います。「まったく外出をしなくなっている子どもたちに何かできないか」と考え続け、たどり着いたのが、きゅるあの活動のひとつ『訪問型の活動』です。翌年から『訪問型の活動』として、クッキングの材料と、お手紙を届ける活動をスタート。
「親子で一緒にお料理してほしいという気持ちから思いつきました。お手紙は、一人ひとりを思い、楽しい絵を描きメッセージを添えました」。陽だまりのように温かい山本さんならではの、心のこもった活動です。「活動を始めてしばらくすると、保護者の方々の表情がだんだん明るくなり、子どもたちの様子を楽しそうに話されたり、メッセージをくださったりするようになりました。そして、絵やアートが得意な子が多いことを知ったのです」。
そこで地域の図書館に相談を持ちかけ、子どもたちが描いた絵の展覧会を開催。さらには他愛のないおしゃべりから保護者がぽろりとつぶやいた困りごとをすくい上げ、助成金を使って専門家を招いた講座を開講するようになりました。
私たちが訪ねたこの日は、「ゆるむ」をテーマに発達支援コーチとして活動する上野良子さんのお話会。畳の間ということもあり、参加者の顔は、どんどんリラックスしていくように見えました。
「湯船につかった時とか、思わず気持ちいい~って声に出してしまうことがありますよね。感覚的に快適だと感じた時、“ゆるむ”ことができるんですが、この“ゆるむ”が、とっても大事なんです。」と上野さんは言います。「ゆるむことで、大きく息を吐くことができます。息は吐いたら吸いますよね、深い呼吸をすることで心も体も安定するんです」。でも、快適だと感じることは人それぞれ。この日も様々なマットを踏んで、自分の好きな感触を教え合い、人との違いを楽しみました。上野さんは、「人に合わせるのではなく、自分の身体や気持ちに耳を傾けて、自分の心地よい感覚を知って大切にしてほしい」と保護者の方々に伝えておられました。
「子どもたちも保護者の方々も、たくさん悩んで、たくさんのことを学んで、『1人ひとりに合った新しい道を開拓しよう』と懸命に頑張っておられます。上野先生のような先生をご紹介できることも、コープしがの助成金を受けられたおかげ」と言う山本さんは、このような活動が「きゅるあ」だけでなく、もっとたくさんの地域で広まっていくことを願って、各地域の担い手候補に向けた広報活動にも力を入れています。
今年度は「旅する夢中展」と題して、子どもたちの絵が、地域のお店を巡回する展覧会を開催するなど、できるコトづくり制度を通じてどんどん活動の場を広げています。
みんなが笑顔でくらすために、私たちにもできるコトがあるはず。「何かしたいなあ…」と思っている方、そのヒントを探してみませんか?
団体の立ち上げ方から、活動資金、計画書の作り方まで一から学べます。
1から5までのセットでも、1つだけでも申し込みできます。