理事長メッセージ
2023年度は、コープしが設立30周年という節目の年でした。この一年、事業と活動を円滑にすすめてこられたこと、ご支援、ご協力をいただいたすべての方々に感謝いたします。
滋賀県に生協が誕生したのは約50年前、1970年代のことです。当時は環境汚染、有害食品の氾濫、健康破壊という高度経済成長の中、くらしを守るために消費者が力を合わせ、県内に4つの生協が誕生しました。
それぞれの生協は、食の安全とくらしの安心への願いを生協に寄せ合って、願いの実現に向けて事業や活動をすすめてきました。そして30年前の1993年3月、4つの生協の力を結集してひとつの生協にすることで、多くの方々から支持や共感をいただけることをめざして、生活協同組合コープしがが誕生しました。
これまでの30年、社会や経済のありようもずいぶんと変化し、私たちのくらしも変わってきました。どのようにくらしが変化しようとも、くらしから生まれる組合員の声と、声に込められた想いや願いをみんなで受け止めて、事業や活動で形にするために努力してきた組合員、役職員の姿勢がコ―プしがの信頼へとつながり、現在に至っているのだと認識しています。このような生協の運営の軸を大事に実践し、継承してこられた先人のみなさんに感謝いたします。
さて、30周年に際して、将来のコープしがを築いていくにあたって「みんなごと」を合言葉に事業と活動・運営をすすめていく一歩を踏み出しました。「みんなごと」とは、関わることを避けずに「受け止める」、そして「みんなで解決していく」という意識を持つことです。私たちは「みんなごと」の思考と行動を習慣になるよう努力し、地域とともに未来を展望できる生活協同組合へと進化していきたいと考えています。その具体的な一歩として、湖北の地域で育まれた移動店舗の精神を引き継ぎ、地域の方々との協同で2号車まで稼働することができました。
また、消費生活協同組合法の理念に則り、健全な事業運営など他の模範と認められた生協に授与される厚生労働大臣表彰も受けることができました。
私たちが掲げる理念「ともにつくる 笑顔あふれる未来」は、想いや願いを出し合い、共感し合い、ともに考え、そしてかけがえのない人と人とのつながりの中で、笑顔あふれる未来をめざして不断の努力を行うことを誓ったものです。様々な地域や団体のみなさんと共生社会の一員として、真面目に地道に、この理念の実践に励んでまいります。
今後とも変わらぬご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。
理事長 白石 一夫
コープしがのシンボルマーク「スパイラル」
地球上にすむ生物は、一つの生命体から進化した家族であり、それらは地球から多くのことを学び、発展してきました。1993年3月、滋賀県の4生協は“自然・世界とともに発展する生協”をキーワードに「コープしが」として新たに発展しました。
シンボルのスパイラル(うずまき)は、コープの「C」を表すほか、巻貝、蔓、渦、波紋、風などの自然を象徴し、さらに、求心と拡大、進化の軌跡などの発展を象徴しています。
私たちは、いつも大きな共同体の一員であることを意識して生きていきたい。そして、「公平さ」「賢明さ」を大切にしていきたいと思います。
合併趣意書
コープ(生協)とは
コープとは、英語の協同組合「co-operative」の略です。農業協同組合や漁業協同組合など、さまざまな協同組合がありますが、消費者の協同組合を「生活協同組合(生協)」と呼び、「コープ」とも呼ばれています。
コープのしくみ
コープは、平和でより良いくらしをみんなで一緒につくっていくために、一人ひとりがくらしのさまざまな願いを寄せ合って協同し、助け合いながら実現してゆく消費者の組織です。
より良いものをより安く、安全・安心な商品の提供はもとより、地域の皆さんと一緒に、食・環境・平和・福祉などの多彩な取り組みを通じて、誰もがくらしやすい笑顔あふれる社会をめざした活動と事業を行っています。
コープのおいたち
ロッチデール公正開拓者組合の最初の店舗は、現在博物館となっています
コープ(生協)のはじまりは、1844年、イギリスの「ロッチデール」という小さな村にできた「ロッチデール公正開拓者組合」だといわれています。
当時のイギリスは、社会情勢を背景に物価が高く、粗悪な商品が流通していました。混ぜもののない、量目にごまかしのない商品を手に入れるために、28人の織物工が苦しいくらしの中から一年をかけて一人1ポンドを積み立てて、食料品などを共同で仕入れ分配する事業を取り入れたのです。
その小さな輪が世界中に広がり、今では10億人を超える人々が協同組合に参加し、世界最大の非政府組織(NGO)となっています。
コープしがの理念・ビジョン
コープしが2030年ビジョン
~やくだつ・つながる・ひろがる~
2030年のコープしがは…
- 食の安全・安心を大切に、一人ひとりのくらしへの役立ちを高め、生涯を通じて利用できる事業をつくりあげています。
- 誰もが安心してくらせることをめざし、地域の中での役割を担っています。
- 大多数の人々の理解と共感、つながりを力に、持続可能な社会への取り組みを広げています。
- 組合員と生協で働く誰もが活き活きと輝き、より良いくらしづくりをめざして持続可能な経営を続けています。
第Ⅱ期(2024~2026年度)
“やくだつ・つながる・ひろがる”計画(第10次中期計画)
理念と2030年ビジョン
コープしがでは、コープしが理念「ともにつくる笑顔あふれる未来」でめざす「笑顔あふれる未来」を実現するための通過点として、2021年度からの10年間で「コープしが2030年ビジョン」を策定しています。
中期計画の位置づけと課題認識(つながりづくり)
2024年度を初年度とする第10次中期計画(2024~2026年度)は、「コープしが2030年ビジョン」"~やくだつ、つながる、ひろがる~"の実現をめざす中間の3年間となるため、「第Ⅰ期"やくだつ、つながる、ひろがる"計画」の土台づくりを継承し、2030年ビジョンで描くコープしがの姿を実現するための継続する施策となります。
「第Ⅱ期"やくだつ、つながる、ひろがる"計画」では、コープしがの現在の姿をブラッシュアップして、これからもずっとコープしがへ寄せられる期待に応え続け、ふだんのくらしにもっと"やくだち"続けるために「コープしがはどう変わっていけばいいか」2030年時点でも"やくだち"続けるための「つながりづくり」をめざします。
重点課題
《ビジョン1》(2030年のコープしがは…)
食の安全・安心を大切に、一人ひとりのくらしへの役立ちを高め、生涯を通じて利用できる事業をつくりあげています。
- 宅配事業では、より安心・信頼して利用できるための取り組みをすすめます。また、コープきんき事業連合との連携を強め、多様なくらしのニーズに応える商品を品揃えし、商品の良さやこだわりを丁寧に伝え利用を広げます。
- 店舗事業では、職員の接遇やニーズに応える商品の品揃えなどにより、「あったかさ」と「便利さ」をより実感できるための取り組みをすすめ、多様な手段を通じて、くらしへの役立ちを高めます。また既存店のリニューアルや新規出店の準備をすすめ、さらなる役立ちをめざします。
- 夕食サポート事業では、人生100年時代の健康的な食事を提供するためのサポートを強化するとともに、今後の事業の広がりに対応した取り組みをすすめます。
《ビジョン2》(2030年のコープしがは…)
誰もが安心してくらせることをめざし、地域の中での役割を担っています。
- 滋賀県内の諸団体や企業などとの連携をすすめ、事業や活動を通じて、食と農、消費と生産をつなぎ、県内農産物や県内産原料を使った商品の取り扱いが広がることで、食を取り巻く地域における諸課題の実践につなげます。
- 地域包括ケアシステムに参画することにより、住み慣れた地域で誰もが自分らしいくらしを続けるための役割を果たします。また県内全域に在宅サービスの拡大をめざし、新たな介護事業の拠点づくりの検討をすすめます。
- 地域の買い物困難者の支援に向けて、住民や自治体等との連携を図り、既存の事業「あったか便」やサービス「お買い物サポート」等を活用した取り組みをすすめます。
- 地域のくらしの安全・安心に向けて、さらに自治体や諸団体とのつながりをつくるとともに、身近な見守りや声かけ・たすけあいなど、組合員も一緒に関われるように考えていきます。
《ビジョン3》(2030年のコープしがは…)
大多数の人々の理解と共感、つながりを力に、持続可能な社会への取り組みを広げています。
- コープしが理念を実現するための行動指針である「みんなごと」を組合員・役職員共通のキーワードとして事業や活動をすすめ、みんなで生協の良さを実感し、より多くの県民や諸団体に広げていきます。
- コープしがの理念や政策・方針、事業や活動をすべての※ステークホルダーが正しく認識できるよう、さまざまなメディアを通じて積極的かつ効果的に広報活動を展開します。
- 2022年度策定の「CO2排出量削減に向けたロードマップ」に沿って、組合員とともに取り組みをすすめ地球温暖化によるリスクの低減を図ります。また、より多くの組合員がコープしがの4R(リフューズ・リデュース・リユース・リサイクル)の活動に参加できるよう取り組みをすすめます。
《ビジョン4》(2030年のコープしがは…)
組合員と生協で働く誰もが活き活きと輝き、より良いくらしづくりをめざして持続可能な経営を続けています。
- 組合員の想いをかたちにつなげる運営を継続・強化し、生協は組合員の想いや願いによって運営されていることをより広く実感できるようにすすめます。
- これからもずっと組合員に" やくだち" 続けるために、組織の基である「人」づくりを強めます。また、やりがいをもって安全に働き続けられる職場づくりをすすめます。
- 短期・中期の視点で現状の問題から課題を設定し、より効率的な運営体制の構築や事業構造の改革・改善をすすめ、常に事業効率を追求することで安定した事業運営を続けます。
さまざまな事業や活動を行っています