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くらし*たいせつマーク
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終活は“家族一緒に”が合言葉 - お金編 -
終活は“家族一緒に”が合言葉 - お金編 -

近年では、早い時期からご自身やご家族の“終活”を考える人が増えました。やはりみなさんが気になるのは、亡くなった後のお金のこと。
今回は、ご本人はもちろん、見送る側のご家族にも知ってほしいお金事情を、相続対策や財産管理に詳しいファイナンシャル・プランナーにうかがいました。

近年では、早い時期からご自身やご家族の“終活”を考える人が増えました。やはりみなさんが気になるのは、亡くなった後のお金のこと。
今回は、ご本人はもちろん、見送る側のご家族にも知ってほしいお金事情を、相続対策や財産管理に詳しいファイナンシャル・プランナーにうかがいました。



終活には時間とパワーが必須!

長棟さん

長棟ながむね 治夫はるおさん

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP®認定者、金融経済教育推進機構(J-FLEC)認定アドバイザー

「そもそも、終活はご自身と残される家族のためにするものです。だから家族が何も知らない、協力しないというのはおかしなこと。終活は“家族一緒に”が基本です」と力説するのは、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の長棟治夫さん。

身辺整理や葬儀の準備だけでなく、お金に関わる終活は驚くほど多岐に渡り、かなりの時間とパワーを要します。ですから、ご本人が元気なうちに家族と情報共有しながら少しずつでも着実に進めておくのが良策です。



残された家族が困ること
その① デジタル資産や加入サービスの整理

パソコンやスマホのロック画面を解除するパスワードも、忘れず家族に伝達を!

パソコンやスマホのロック画面を解除するパスワードも、忘れず家族に伝達を!

最近、とくに多いのがデジタル資産の問題です。たとえば、ネット銀行やネット証券をご利用の場合、紙ベースの取り引き証拠が手元にはありません。原則的にアクセスできるのはご本人のみですが、万が一に備えて取り引き先の金融機関名とID、パスワードをメモして整理しておきましょう。

意外に盲点なのが、毎月払いの有料アプリや定額制のサブスクリプションサービスです。これらはスマホを解約しただけで自動的に停止するものではありません。きちんと個別に解約する必要がありますので、加入サービス名とID、パスワードをメモして家族に保管場所を伝えましょう。



残された家族が困ること
その② 土地などの不動産相続

資産の中でも土地などの不動産は複数の相続人で分配するのが難しく、トラブルの原因になることが多々あります。そこでおすすめしたいのが、事前に法務局で全部事項証明書(不動産登記簿に記載されているすべての内容を表示したもの)を取得することです。それを元に今後は誰がどの土地を相続し、維持管理していくのかを早めに決めておきましょう。

また、「両親から土地があると聞いたが、どこにあるのか分からない」といった相談もよく受けます。ご本人が健在なうちに地図上で明確にするだけでなく、周りの土地と境界があいまいな場合には土地家屋調査士に依頼して、測量後、金属製の境界標を打ち込んでもらいましょう。

※全部事項証明書は、1策ごとに作成されます。



残された家族が困ること
その③ 空き家対策

空き家のイメージイラストです

2023年に空家法が改正され、空き家は倒壊や景観悪化などの恐れがある「特定空家」に指定されると、自治体の判断で強制的に解体できるようになりました。しかも、特定空家の前段階である「管理不全空家」になった場合も、土地の固定資産税が6倍、都市計画税が3倍に引き上げられます(敷地面積200m²までの小規模住宅用地に対して)。

もしも古い空き家を売却するなら、建物を解体して更地にしておくと買い手がつきやすくなります。ただし、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC)によって解体費用が異なりますから、最低でも3社の業者から見積もりを取りましょう。



普段から密なコミュニケーションを

繰り返しになりますが、終活はご本人だけの問題ではありません。親子間や親族間のコミュニケーションが少ないと、亡くなった後に借金や連帯保証人の債務といった“負の遺産”が見つかるケースもあります。なかなか話題にしにくいものですが、たとえばこの記事をきっかけに、ご家族で話し合いの場を持たれることを期待しています。

「エンディングノート」のススメ

「終活の始め方が分からない!」という人には、「エンディングノート」の活用をおすすめします。自治体や社会福祉協議会が無料配布しているほか、お好きなノートを使ってご自分で作成しても構いません。
インターネットからダウンロードできるタイプもあります。「エンディングノート 滋賀県」で検索してみてください。


「エンディングノート」には、以下のようなことを書いておきましょう。

  • 自分のこと(自分史や家系図、趣味・特技など)
  • まわりの人のこと(連絡してほしい人のリスト)
  • 医療・介護のこと(かかりつけの病院や医療・介護の意思表示)
  • 財産のこと(金融機関や不動産、有価証券、保険など)
  • 相続・遺言のこと
  • 葬儀・お墓のこと

「エンディングノート」は、終活をスムーズに進めるだけでなく、家族への連絡帳や備忘録にもなる便利なものです。
(注)「エンディングノート」には法的効力はありません。



お金にまつわる終活はどこに相談したらいい?

個人相談の場合はファイナンシャル・プランナーが適任です。費用の相場は1時間で5千~1万円(税抜)。ファイナンシャル・プランナーの中でも上級者を検索できる日本FP協会ホームページ内のCFPR認定者検索システムを利用すれば、不動産や相続、遺族年金などさまざまな得意分野をもつ人材を紹介してもらえます。

日本FP協会「CFPR認定者検索システム」



墓じまい

墓じまいにかかる費用は、だいたい30~300万円が目安だといわれています。なぜこんなに金額の差があるのかというと、檀家の少ないお寺ほど墓じまいによる離壇を避けたく、費用を高額にする傾向があるからです。また、墓じまいを終えた後には永代供養がおすすめです。永代供養とは、遺族や子孫に代わって霊園や寺院などが遺骨を管理・供養すること。費用の相場は約20万円~50万円です。

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