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怒りの感情と上手に付き合う「アンガーマネジメント」って?
怒りの感情と上手に付き合う「アンガーマネジメント」って?

「怒りが湧いた時は、心の中で6秒数えると気持ちが落ち着く」と聞いたことはありませんか? これは怒りという感情をコントロールする“アンガーマネジメント”という方法です。「試してみたけど怒りが収まらない!」という人もいるでしょう。それは“怒り”の本質をきちんと理解できていないからかもしれません。そこでアンガーマネジメントコンサルタントの知田良博さんに、お話をうかがいました。

「怒りが湧いた時は、心の中で6秒数えると気持ちが落ち着く」と聞いたことはありませんか? これは怒りという感情をコントロールする“アンガーマネジメント”という方法です。「試してみたけど怒りが収まらない!」という人もいるでしょう。それは“怒り”の本質をきちんと理解できていないからかもしれません。そこでアンガーマネジメントコンサルタントの知田良博さんに、お話をうかがいました。



怒りは悪い感情ではない!

知田 良博 先生

知田 良博 先生

アンガーマネジメントコンサルタント
キャリアコンサルタント


大学を卒業後、外資系企業を経て水口スポーツセンター「Well・Be」へ。子どもたちに水泳を指導する一方で、保護者の悩みに向き合うためアンガーマネジメントを学ぶ。

怒ると人間関係が悪くなる。怒ると冷静な判断ができなくなる。怒ると自分自身が疲れてしまう……など、デメリットばかりが強調されがちな“怒り”という感情。でも、怒りの本質はデメリットばかりではありません。たとえばスポーツ選手なら、ライバルに負けた悔しさや自分への怒りをバネにして、さらに頑張ることもできるでしょう。良くも悪くも怒りとはとても強い感情です。そのエネルギーをうまく変換できたとしたら、「いざ!」という時に自分を奮い立たせたり、勇気づけたりできるのです。

そもそも人は怒りの感情を手放すことはできません。怒りにはとても大切な役割があるからです。それが命の危険から身を守るための“防衛感情”。たとえば天敵に襲われそうになった野生動物は、心拍数を上げて筋肉を硬直し、血圧を上昇させて闘ったり逃げたりする準備に入ります。この身体的反応は、怒りを覚えた時の私たちとまったく同じ。現代人は命の危険にさらされる場面が少ないものの、自分の中で守っておきたい立場や価値観、意見などが危うくなると、頭に血が上ってしまうのです。



私たちを怒らせるものの正体

では具体的に、何が私たちを怒らせているのでしょうか。それは、誰かのせいでも出来事のせいでもなく、私たちの中にある「こうあるべき」という思い込みです。私たちには生まれ育った環境でさまざまな“べき”が頭に刷り込まれています。男性はこうあるべき、女性はこうあるべき、社会は、仕事は、子どもは……という風に。その“べき”という理想に対して現実が違った場合に人は腹を立てたり、イライラしたりするのです。

さらにそこへ不安や苦しみ、孤独感といったマイナス感情、疲れや寝不足、空腹などの体の不調が合わさって、怒りの炎が点火する仕組みになっています。



3つのコントロールに挑戦しよう!

よく勘違いされますが、アンガーマネジメントとは、すべての怒りを否定するトレーニングではありません。「怒る必要がない場合は怒らないでおきましょう。でも、どうしても怒る場合は上手に怒りましょう」というスキルです。

そこで普段からやっていただきたい3つのトレーニングがあります。まず1つ目が、「衝動のコントロール」です。衝動的な怒りに対して最もやってはいけないことは“反射的にやり返す”こと。なぜなら反射的な行動は相手を傷つけたり、言い過ぎたりすることがあるからです。

まずはイラッとしたら心の中で6秒待ちます。怒りのピークは6秒間といわれ、次第に理性が働いてくるからです。その間に、怒りの温度を測ってみましょう。人生最大の怒りが10度で、穏やかな状態が0度。ちょっと不快に感じる程度が2~3度だとしたら、今の出来事は何度かな? と考えてみるのです。怒りの感情をコントロールしにくい理由に「尺度がない」ことが挙げられます。自分の中で怒りの温度を測る訓練を行えば、自ずと怒るべきか、怒るべきではないのかが判断できるようになります。

次に「思考のコントロール」です。1つ目の「衝動のコントロール」でもまだ気持ちが晴れない場合、心の中で三重丸をイメージしましょう。1番中心が自分にとって許せるゾーン、中間がまぁ許せるゾーン、1番外側が許せないゾーンです。たとえば、待ち合わせの時間。5~15分の遅刻なら「許せる」、30分以内なら「まぁ許せる」、1時間以上なら「許せない」といった境界線を自分の中で決めておくのです。ただしこれは、その日の機嫌に左右されないよう平常時に決めておくことが大切。また、あらかじめ相手に対して、「ここまでしたら怒るよ」と自分の境界線を見せておくことも有効です。

それでも怒りが収まらない場合が3つ目の「行動のコントロール」です。これは、怒ると決めた時にどうするかということ。まずは怒って改善するなら、重要度の高いものからすぐに行動に移しましょう。そこで大切なのは、いつまでに、どの程度変われば良いのかを前もって設定しておくこと。

一方、怒ったところで改善できないもの、たとえば天気や人間関係などは「変えられないもの」として受け入れるしかありません。いずれの場合も「行動のコントロール」では、自分や周囲にとって健全な選択かどうかを判断基準に、行動できるように、心掛けてみてくださいね。



衝動のコントロール
怒りのピークの6秒間を待つ間、怒りの温度を測ってみる

それ以外にも心を落ち着かせる対処法として

  • 100から3ずつ引いていくカウントバック(100、97、94…)
  • 「自分なら大丈夫」「きっと乗り越えられる」と言い聞かせる
  • 好きな言葉や前向きな言葉を心で唱える、など
思考のコントロール
思考のコントロール(三重丸)

©一般社団法人日本アンガーマネジメント協会

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