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お互いを尊重しよう! アサーティブ・コミュニケーション
お互いを尊重しよう! アサーティブ・コミュニケーション


新生活がスタートし、新たな人間関係に悩んでいる人も多いはず。そこで今回は、心がふっと軽くなる「アサーティブ・コミュニケーション」についてコミュニケーション・トレーナーとしてご活躍されている谷水美香先生にお話を伺いました。

アサーティブ・コミュニケーションって?

谷水美香先生谷水美香先生

谷水 美香 先生

ヒューマン・トータルバランスサポート「りんと」代表。アサーティブ・コミュニケーショントレーナー、精神保健福祉士。大阪府立の高校で27年に渡って教壇に立ち、2002年に自他尊重のコミュニケーションである「アサーティブ」に出会う。特定非営利活動法人アサーティブジャパンの認定講師として活動後、独立。引き続き、数多くの講演・講座を開催。トレーニングの指導を行っている。

谷水先生のウェブサイト

アサーティブ(assertive)には「自己主張する」という意味がありますが、これは一方的に自分の意見を押し通すことではありません。自分の意見や要望を相手にきちんと伝えつつ、相手の立場を尊重し、お互いの違いを受け入れることで、目の前にある課題の解決に向けた対話を重ねていくのがアサーティブ・コミュニケーションです。 そもそもこの考え方は1950年代のアメリカで心理学の行動療法の一つとして誕生しました。その後、1960~70年代に入ると、人種差別に抗議する公民権運動や女性解放運動が巻き起こり、「人は誰でも自分の意見を表明する権利がある」とするアサーティブの考えが広く世界に広まりました。



コミュニケーションのタイプを知ろう!

それでは実践に移る前に、まずは自分自身のコミュニケーションの“クセ”を知ることから始めましょう。自己判断で構いませんので、下記の3つのタイプから当てはまるものを選んでください。

コミュニケーションの3つのタイプ
攻撃型さん

〈攻撃型〉

相手よりも自分を優先

自分は正しい、間違っていないという立場を貫き、自らの意見を押し通そうとするタイプです。たとえ口調が穏やかでも、「ふつうは」「一般的に」といった枕ことばを使う傾向があります。

受身型さん

〈受身型〉

自分よりも相手を優先

人間関係に波風が立つことを恐れ、自分の意見をなかなか相手に伝えられないタイプです。自分にどこか自信がなく、何を聞かれても「どっちでもいいです」などとあいまいな表現をしがちです。

操作型さん

〈操作型〉

受身な姿勢で自分を優先

直接相手に意見を伝えず、遠回しな表現や第三者を介して察してもらおうとするタイプ。「私は何も知らないけれど、勝手にコトが進んでいた」という立ち位置を好みます。



中にはこれらの分類が全く該当しない人、相手との関係次第で3つのタイプがすべて当てはまる人もいます。大切なのは自分のクセを知ることで、人間関係におけるリスクを回避できるということ。たとえば〈攻撃型〉だと相手が黙り込んでしまう、〈受身型〉だと自分自身にストレスが溜まる、〈操作型〉だと信頼関係が保てないなどといったリスクが潜んでいるのです。



4つの心構えを意識してトレーニング!

さぁ、それでは実践してみましょう。下記の4つの原則を念頭に置きながら、自己表現のトレーニングを行います。

4つの心構え
4つの心構え

〈誠実〉

自分の気持ちや感情に対して正直になること。それがアサーティブ・コミュニケーションにおける第一歩です。

〈率直〉

簡潔に整理して短く話すということ。話が長くなればなるほど、意見や要望が伝わりにくい傾向があります。

〈対等〉

上から目線にも卑屈にもならず、対等に話すこと。年齢や経験による違いは人の優劣を決めるものではありません。

〈自分側の責任〉

自分から話す責任、相手の意見に耳を傾ける責任を持つこと。コミュニケーションにおける責任は、自分と相手で半分ずつ受け持つことを心がけます。

では、一つ例を挙げてみます。あなたはカフェに入りました。温かい飲み物がほしかったのに、出てきたのはぬるいコーヒー。自分の気持ちに誠実になり、「まぁ、いいや」と思えたら、自分側の責任としてそのまま飲んでOKです。でも、もし「こんなのイヤだ」と思ったら、率直に「少しぬるいので温め直してもらえませんか?」と伝えます。こんな身近なところからアサーティブを実践し、自分も相手も尊重しながら適切にことばを選ぶトレーニングを積み重ねてくださいね。



組合員から届いたお悩み
教えて! 谷水先生

Q. 長年連れ添った夫。具合が悪くて私が寝込んでいるのに「お~い、お茶!」って。なんだかもう、疲れてきました。

A. まずはご自分の気持ちに誠実になれたことを前向きに捉えましょう。その上で一度、お連れ合いに伝えてみてください。「私は今日、具合が悪いの。今はゆっくりしたいから、お茶は自分で淹れてね」って。長年連れ添っていると、お互いに顔色を見ればわかるだろうと思い込んでいるものです。とにかくまっすぐ簡潔に今の気持ちを伝えてみる。自分が変われば相手も何らかの変化があると思われます。

Q. 忙しそうにしている人に声を掛けるのが苦手です。こちらも急ぎで相談したいことがあるのに……。

A. 周囲をよく見て気遣う人ほどその傾向が強いです。でも、まずは自分の状況を相手にわかってもらうため、「ちょっとご相談があるのですが、今よろしいですか?」とひと言掛けてファーストアクションを起こしましょう。それで相手がOKならすぐに相談できますし、たとえムリでも「あなたから相談がある」ことが相手の脳にインプットされます。また、具体的な日時を決めてアポイントを取ることも有効です。

Q. 会議の場で若手からの意見がなかなか挙がりません。結局、上司である私の意見が通るかたちになってしまいます。

A. 私自身もリーダー的な役割が多く、同じような危機感を持った経験があります。こちらが早めに発言すると、「谷水さんがそういうなら……」っていう空気になっちゃうんですね(笑)。ですから私は最後に発言するかたちで、「皆さんの意見を聞かせてください」というスタンスに変えました。あと、管理職の方はどうしても話が長くなりがちです。対等を意識し、ほかの参加者と話の分量が同じくらいになるように心掛けてくださいともアドバイスしています。

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