鳥取県の大山乳業が製造する、コ―プしが産直牛乳。年間150万本を超えて利用されている、コープしがを代表する商品のひとつです。
ほんのり甘くてコクがあり、優しい味わいの「産直生協牛乳120」。組合員のみなさんの食卓に毎日登場する生協商品のひとつではないでしょうか。
生産しているのは山と海に挟まれた、大自然が広がる鳥取県の大山乳業農業協同組合(以下、大山乳業)。2009年にコープしがが協定を結び、「産直牛乳」として取り扱いが始まりました。牛乳類をはじめバターやヨーグルト、アイスクリームなどの人気商品も手がける、コープしがでもおなじみの生産者です。
大山乳業の最大の特徴は、県内すべての酪農家が組合員になっている、全国でも珍しい酪農専門の農協です。現在の生乳出荷戸数は92戸、合計6,060頭の経産牛から年間59,000トンの生乳を搾乳しています。
通常、酪農家で搾乳された生乳は、乳業メーカーに出荷されますが、大山乳業では酪農家の想いをそのまま組合員のご家庭に届けられるように、生産・処理・販売と一貫した体制をとっています。このことで搾乳から出荷までの期間が短くなり、搾乳された生乳は、最短で4日後には組合員に届きます。また専属の獣医師が所属する酪農指導部が、牛の健康管理やエサの安全性、搾乳衛生などの生産指導を行なって酪農家をサポート。酪農家と組合が一緒になっておいしい牛乳を目指しています。
「乳牛の健康は、生乳の品質に直結する」と小前組合長は言います。酪農指導部では、『牛群検定』と呼ばれる牛の健康診断を毎月1回行ない、飼育している牛全頭について、乳量や乳成分、体細胞などの膨大なデータを分析しています。これによって調子の悪い牛を早期に発見して対処することができ、健康な牛の乳質の高い牛乳を供給することができます。
乳牛となる牛は、オランダ原産のホルスタイン種。人間と同じように出産した母牛だけが乳を出します。牛は生まれてから乳が出るようになるまでに約2年半かかるため、生産者の仕事は母牛の世話だけではありません。また大山乳業では、おいしい生乳は「餌となる牧草の土づくりから始まる」と考えています。牧草やトウモロコシを栽培しながら、栄養バランスを考えた自家製飼料を使っている生産者もいます。
このような生産者の1日は、子牛の哺乳・餌やり、1日2回の搾乳と清掃、牧草の世話など作業は早朝から夜まで続きます。日々の作業は、牛も安心できるように同じ人間が同じ手順で行うようにしたり、牛が自分でブラッシングできる機械を取り入れたりと、牛の快適な環境づくりには余念がありません。
生産者のみなさんが手間暇惜しまず愛情をかけて下さる一方で、後継者問題や需要の低迷、乳牛に厳しい近年の夏の気候など、課題も抱えています。大山乳業ではデジタル化を推進し業務の効率化を進めたり、子どもたちに学びの機会を積極的に作ったり、「暑熱対策プロジェクトチーム」を結成するなど多面的に対策を行い、大山のおいしい牛乳を守るために尽力しています。しかし、ロシア・ウクライナ戦争に加え円安の影響から、飼料価格や燃料費は高騰の一途をたどっています。一時は、飼料代と燃料費が生乳価格の120%を超える時期もあり、2年連続乳価を上げることとなりました。それでも厳しい状況です。
安全でおいしい「産直生協牛乳120」を、いつまでも利用し続けたいという組合員の願いに応えて頑張っている酪農生産者は、私たちの大切なパートナー。利用することで応援する産直のつながりが、今まで以上に重要になってきています。
牛乳は、牛から搾られた生乳を高温で殺菌したもの。「産直生協牛乳120」は、殺菌を〈120℃・2秒間〉で行なっていることから商品名に「120」と入っています。ほとんどの牛乳に採用されているUHT(超高温短時間殺菌)といわれる方式ですが、「産直生協牛乳120」は、そもそも乳質が高いため、賞味期限がお届け日から12日間と長くなっています。(一般的には製造日から7日)