肌寒くなるこの季節、おでんや煮物に大活躍。ササッと焼いて醤油を垂らすだけでも、りっぱなおかずになる厚あげ。
でも、皆さん。厚あげには2種類あることをご存知でしたか?
一般的に“厚あげ”や“生揚げ”とよばれるものは、木綿豆腐を揚げたもの。対して“絹厚あげ”とは、絹ごし豆腐を使用した厚あげです。絹厚あげの最大の特長は、なめらかなその舌ざわり。加熱調理した後も、つるんとみずみずしい食感が中に残っているのです。
今回、取材に訪れたのはCO・OP国産大豆の絹厚あげを製造する大豆工房株式会社。雲海に包まれた神秘的な姿から“天空の城”とよばれる竹田城跡をすぐそばに臨むことができます。良質の水に恵まれた自然豊かな環境で、製造されています。
そもそもCO・OP国産大豆の絹厚あげは、この地にあった但馬屋食品(株)が製造を担ってきましたが、同社の廃業に伴い、食品機械メーカーの四国化工機(株)が土地・建物・機械設備をそのまま譲り受けました。そして2018年2月、油揚げの製造を中心とした大豆工房(株)を新たに設立したのです。
四国化工機(株)は、CO・OPにがり充てんとうふでお馴染みのさとの雪食品(株)の親会社。1982年、その頃は量産することができなかった豆腐の製造に取り組み、自動製造機によるにがり100%の充てん豆腐の量産化に成功。「さとの雪」ブランドを確立しました。
さとの雪食品同様、“安心安全、品質第一”を信念に掲げる姿勢は、絹厚あげの原料である大豆選びも例外ではありません。「親会社の管理部門が、品質検査と豆腐適性検査などを行い、豆腐作りに最適な性質と安全性を確認できた大豆のみを使用します。現在は九州産のフクユタカが中心ですが、たんぱく質と糖質のバランスなどの条件が合う大豆を、時期によって厳選しています」と工場長の福田穣さん。
厳選された国産大豆を12~15時間ほど水に漬け、膨らんで柔らかくなったところをすり潰し、ドロッとした生呉にします。その後は生呉に熱を加え、豆乳とおからに分けるのですが、この時、プツプツと泡が立ちやすく、きれいな豆腐になりません。通常泡を消すために消泡剤という添加物を使うメーカーもありますが、大豆工房ではなるべく余分なものを入れたくないと、生呉への熱の加え方を工夫することで、絹厚あげに消泡剤を用いずに製造することができています。
大豆本来の風味にこだわる絹厚あげの製造で最も苦労した点は、水分量の多い絹ごし豆腐ならではのドリップ(離水)問題だったといいます。「染み出た水が容器に溜まると見た目が悪くなってしまう。最近はデンプンを添加して保水性を高める製法もありますが、モチモチしすぎる食感が私たちにはどうしても不自然に思えて」と福田さん。
そこで同社では大豆の浸漬時間やにがりを撹拌するタイミングなど、様々な条件で何度もテストを繰り返し、ドリップを最小限に抑えながらも添加物に頼らない製法を独自で開発しています。
食感に関してのもう一つのこだわりは、薄皮であること。絹ごし豆腐のなめらかさを引き立てるため、あえて油で揚げる時間を短めにしています。フライパンで焼くだけで外側はサクッと軽く、中はつるんときめ細やか。同社の職人気質なこだわりが、この優しい口当たりを生み出したのです。
簡単なのにとってもおいしい♪
さっと作れておつまみにも!
CO・OP手揚げ風油あげ
独自の浮かし揚げ製法により、ふんわりと肉厚。豆腐の生地の食感をわずかに残してあるので食べごたえも充分です。
商品全般にいえることですが“安心安全、品質第一”を大前提に、あくまでもおいしさを追求すること。そのためにも従業員一同、日々丹精を込めて作り続けています。