稲穂が黄金色に輝き、新米のおいしい季節になりました。今回は滋賀県が取り組む環境こだわり米について、信楽町の黄瀬営農組合を訪ねました。
新米のおいしい季節になりました。近江盆地といわれる地形にあって、山々がもたらす良質な水と肥沃な土壌で作られる近江米は、豊かな自然に育まれた滋賀ならではのおいしいお米です。
びわ湖を守るため、滋賀県では2001年よりびわ湖の環境保全を目的とした「環境こだわり農産物認証制度」を導入。化学合成農薬および化学肥料の使用量を慣行の5割以下に削減するとともに、濁水の流出防止など、びわ湖をはじめとする環境への負荷を削減する技術で生産された農産物を、県が「環境こだわり農産物」として認証する制度です。滋賀県は今や環境保全型農業の取組件数は群を抜いて全国一、実施面積は北海道に次いで2番目となっています。しかし、厳しい栽培基準である環境こだわり米への取り組みは、とても大変だそうです。
「滋賀県は他府県に比べ化学合成農薬の慣行レベルは14成分と低いのですが、環境こだわり農産物は、さらに低く50%以下(7成分)にしています。当然、薬が効かない雑草や病害虫が出てきます」と、甲賀市信楽町にある農事組合法人黄瀬営農組合組合長の木下義丈さん。そのため、除草作業などの人の手間が増えるだけでなく、農薬を使用するタイミングなど、経験と勘が重要になってくるといいます。「畦の雑草を放っておくと、カメムシなどの病害虫の温床になってしまいます。除草作業は農家にとって1番の苦痛です」。
広大な田んぼを含めた景観の美しさは、全国から視察に見えるほど。何年もかかって、畦に芝を植えるという気の長い作業をされたそうですが、「きれいな村でありたい、環境にこだわり、美しいところで暮らしたいという思いから」と、副組合長の大西八州正さんはおっしゃいます。
「実をいうと、信楽町を流れる川は琵琶湖へは流れません。とはいえ、県をあげての取り組みに我々が賛同しないわけにはいきません」と同組合事務局長の中島俊樹さん。
こうして、安全安心で環境に配慮しただけでなく、美しいところで育まれた黄瀬営農組合のお米(きぬひかり・こしひかり・みずかがみ)は、県内5つの農協のお米とともに、産直米として組合員の元に届きます。
強いうま味と粘りが特長。香りやツヤ、炊き上がりの美しさ、歯ごたえの柔らかさなどどれをとっても優れています。滋賀県産はやや歯ごたえもあります。
関西方面で多く生産される銘柄で、こしひかりの特徴を受け継いだ品種。炊き上がりが絹のように美しくツヤがあり、こしひかりよりさっぱりとした口当たりが人気です。
「ゆたかな水にかがやく実り」がキャッチフレーズの滋賀県育成品種。ほどよい粘りと甘み・うまみを備えたお米で、冷めてもおいしく、お弁当やおにぎりに最適です。
産直米とは、コープしがと県内5つの農協(JA湖東、JAこうか、JAグリーン近江、JA滋賀蒲生町、JA東びわこ)が提携し、「環境こだわり農産物」として栽培した、安全安心にこだわり抜いたお米です。定期購入できる米倶楽部(こめ~る)に登録すると、毎週の商品案内書よりもお得に買えるだけでなく、1kgにつき1円が滋賀県の環境保全に取り組む「滋賀応援基金」に寄附されます。昨年は334,097円寄附しました。
精米後にお米の表面に残る粘着性の強いヌカを「肌ヌカ」とよびますが、コープしがの無洗米は「BG精米製法」によりこの肌ヌカを取り除いたお米です。とぎ汁が出ないので川や琵琶湖を汚しません。また、洗米に必要な水(3合あたり約4.5L)を節約できるうえに、とぎ洗いで損なわれがちな「うまみ層」はしっかり残っており、栄養価も変わりません。取り除いた肌ヌカは有機質肥料としてリサイクルされています。
以前、朝食はパン中心、お米はスーパーで安い物を購入していました。昨年、コープの田植え稲刈り体験に参加して環境こだわり農産物のことを知ってからは、朝食はご飯に、お米もコープの産直米を利用するようになりました。
下の子の出産を機に、こめーるを利用しています。月2回、注文しなくても届くので買いに行く手間もなくとても便利です。安全安心なお米が、通常より安く購入できるのも魅力です。
「日々の管理と経験値」
米づくりはいつでも自然と背中合わせです。季節はずれの長雨や渇水、低温など、不測の事態に臨機応変に対応しなければなりません。そのためにも日々の管理とこれまでの経験値が大切だと思います。
美しい里山の田園風景が誇りです。信楽インターから車で5分。