群馬県赤城山麓 産直レタス
またの名を〝やさい王国〟とよばれるほど農業が盛んな群馬県昭和村。国定忠治の戯曲でも有名な赤城山のふもとに位置し、周囲を2000mクラスの険しい山々に囲まれた、高原地帯の農村です。
コープしがの産直レタスは、この地で生産されています。栽培から品質管理、出荷までを請け負うのが株式会社野菜くらぶ。農作物は一般にたくさん採れ過ぎると安くなり、肥料や農薬に配慮してきちんとおいしく育てても、評価の対象にはなりません。そこで「生産者が自ら売れる仕組みを作ろう」と、1992年に発足したのがこちらの生産者団体です。
そんな野菜くらぶの特色の1つが産地から直送でお届けすること。自ら販路を開拓し、契約栽培というかたちで取引先と年間の生産量や栽培方法、価格などを決めています。ニーズに合った農作物を畑から直送するので流通経路にムダがなく、身元のはっきりわかる野菜をイチ早く消費者に届けることができるのです。
「現在、北は青森から南は岡山・島根まで、約80名の生産者が加盟しています」と話すのは、野菜くらぶ営業部部長の河原勉さん。地域の気候に合わせた適地適作を心がけ、産地を分散することで1年を通じて安定的に出荷できる体制を敷いています。コープしがの産直レタスを担当する都丸農園の都丸悟さんもそんな生産者のひとり。30代の若手でありながら、11名のレタス農家を束ねるレタス部会長を務めています。「地中海沿岸を原産とするレタスは、水はけのよい土壌を好む野菜。とにかく多湿を嫌うので、梅雨の時期には気をつかいますね」と都丸さん。
ここ赤城山麓の土壌は、那須火山地帯に属する榛名山の噴火によって火山灰が堆積した黒ボク土。ホクホクと柔らかな土質は水はけもよく、標高400~800mの冷涼な気候もデリケートなレタスの栽培に向いています。都丸さんが作付をしている畑の総面積は約25ha。東京ドームに換算して約5.3個分の広大な圃場です。
そんな見渡す限りのレタス畑の足元は、びっしりとビニールシートで覆われています。「春は光を取り入れながら土の乾燥を防ぐ透明なシートを、夏場は地温が上がり過ぎないようにシルバーのシートで日よけをしています」。レタスの栽培は、土壌の温度や水はけに大きく左右されるもの。だからこそ生産農家は様々な工夫を凝らしているのです。
採れたてのレタスを食べさせてもらうと、シャキシャキとみずみずしい! そのうえ肉厚な食感は魚粉や米ぬかといった有機肥料の効果によるもの。週に1度はレタス部会で品評会を開いてできばえを確かめ、生産者同士で技能を高め合っているそうです。
レタスはおよそ30~50日の生育期間で収穫の時期を迎えますが、高温を嫌うため夜明け前の涼しい時間に収穫しなければなりません。しかも、一つひとつ人の手で丁寧に刈り取ります。都丸さんの農園ではまだ暗い朝の3時から従業員総出で1日に5000~1万個のレタスを収穫し、庫内を6~8度に保ったトラックで集荷センターへ。丹精込めて育てられたレタスは、収穫から4日目には、組合員の手元に届けられるのです。
私たちが一番大切にしていること
組合員さん向けのレタスは、宅配されることを考えて大き過ぎず小さ過ぎず、それでいてずっしりと食べ応えのあるサイズで作るようにしています。これからも様々な栽培方法を研究してレタスの味を追求していきたい。いつでも組合員さんに「おいしい!」と言ってもらえるものを作ろうと努力しています。
次世代の就農希望者を育てるため独立支援プログラムを制定しています。