滋賀県甲賀市 食べる緑茶
(朝宮農薬不使用粉末緑茶)(1袋80g)
いよいよ新茶の季節が近付いてきましたね。今回は40年以上前から緑茶の農薬不使用栽培に取り組む、甲賀市信楽町のかたぎ古香園を訪ねました。
健康成分たっぷりの緑茶は、まさに日本が生んだスーパーフード。たとえば血中のコレステロールを下げたり、がん細胞の増殖を抑えたり、脂肪の吸収を穏やかにし、認知症を予防するなど、実にさまざまな効能が大学などの研究チームから報告されています。
しかし、急須で緑茶を淹れた時、テアニン・カテキン・ビタミンCなど水溶性成分はちゃんとお湯に溶けますが、ビタミンEやAなど水に溶けない成分は茶殻の中に残ってしまいます。ちなみにビタミンEには活性酸素から身を守る抗酸化作用があり、ビタミンAには気管支の粘膜を強化してウィルスを防ぐ効果があるといわれています。
「これではあまりにももったいない!」と生まれたのが、一番茶を粉末加工して緑茶の成分を丸ごと摂取できる「食べる緑茶」です。かたぎ古香園の茶園がある信楽町朝宮地区は、標高300~600mの高地。そのため朝夕の寒暖差が激しく、冬場は氷点下約15度まで気温が下がることもあるそうです。「茶の木は厳しい寒さに耐えるため、糖分を溜め込んで不凍液を作ります。これが朝宮茶独特のよい香りになるんですよ」と、6代目当主の片木明さん。
「自然のままの環境でお茶づくりをしてみたい」と、片木さんが農薬不使用栽培を開始したのは昭和50年のこと。思いきって農薬散布をゼロにした途端、美しかった茶園は害虫だらけになりました。「お茶の葉っぱが黄色くなって赤くなり、新芽もすぐに食べられる。とにかく害虫が寄ってくるから、周囲の農家さんにも怒られましたね」。1年目の収穫はもちろん皆無に等しく、2年目も無残な結果に終わったそう。それでも片木さんはアルバイトを掛け持ちして生計を立て、「いつまで続けるつもりなの?」という家族の反対を押し切ってお茶の農薬不使用栽培に挑みました。
「3年目になって『今年もダメか』と嘆いていたら、害虫が発生しても10日ほどで消えてしまう畑があったんです」。不思議に思ってよく観察してみると、クモやテントウムシ、カマキリなど、これまでいなかった天敵が害虫を食べていたのです。それからは新芽がすくすく育つようになり、なんとか茶葉も収穫できるようになりました。「考えてみれば山の木だって、誰のお世話にならなくても葉っぱを広げ、紅葉し、落葉し、また芽吹く。大きな自然の循環に生かされていることに、その時初めて気付きました」。
さて、そんな茶畑から生まれた食べる緑茶ですが、原料には渋みの少ない一番茶の煎茶を使用しています。「発売したのは20年くらい前。当時から溶かして飲む茶はありましたが、顆粒状が多かったですね」。顆粒状はお湯にも水にも溶けやすく、使い勝手がいいのですが、製造工程で様々な薬品が必要になるそうです。粉末は顆粒に比べて溶けにくさはありますが、余分なものを何も加えず、農薬不使用緑茶100%の商品として開発されました。
「毎日飲んでいる人は、『風邪を引きにくくなった』という意見が多いですね。緑茶カテキンの殺菌力は強力ですから」と片木さん。溶かすだけでどこでも気軽に飲めるため、「急須でお茶を淹れるのはちょっと…」という人も、まずは食べる緑茶で健康習慣を始めてみてはいかがでしょうか。
片木 明さんが一番大切にしていること
今ではお茶を飲む習慣のないご家庭が増えてきましたが、私たち生産者が健康でいられるのもお茶のおかげです。もっともっと多くの人にお茶の効能やすばらしさを伝えたいと思います。
江戸末期から代々続く朝宮茶の茶園。信楽インターから車で約30分です。