肌寒さが増すにつれ、あったか~いおでんや煮物が恋しくなるこの季節。料理の名脇役として欠かせないのがこんにゃくですが、なかでもCO・OPねじり糸こんにゃくは、コープしがのロングセラー商品です。
製造するのは、奈良県に本社を構える株式会社若草食品。吉野山系の水と緑に恵まれた風光明媚な北葛城郡で昭和20年に創業。以来、73年の長きに渡って、こんにゃくとところてんを作り続ける会社です。
ある時、工場見学に訪れた組合員が、まな板の上で糸こんにゃくを束ねてひと口大に切りながら、「糸こんにゃくって味染みもいいし、水洗いで済むから使いやすいでしょ。こうやって束ねて短く切っておいたら食べやすいし、まな板も汚れない。こんなの作ってよ」。
その言葉を聞いて奮起した当時の工場長が開発した商品が、CO・OPねじり糸こんにゃくです。
「完成までに3年の月日を要しました」と話すのは、(株)若草食品 常務取締役の上杉和義さん。まずは糸こんにゃくがバラけないよう、しっかり結着させるため、ロープのようにねじることを思いつきました。しかし、誰もまだやったことがない技術。どうしていいのかわかりません。そんな時、当時の工場長はお風呂の栓を抜いたあと、ぐるぐると渦を巻く水流を見てひらめきました。
「小さな穴からシャワー状に糸こんにゃくを押し出して、回転させればよいのでは…」。そこで回転するノズルからシャワーのように押し出した糸こんにゃくを、お湯が渦を巻くパイプの中へ落とし込みました。結果は大成功…! と、思われましたが、今度はねじれがきつすぎて、束になった糸こんにゃくがあらぬ方向へと曲がってしまいます。「ねじれたものをまっすぐ伸ばすには、こんにゃくが通るパイプを伸ばすしかない」。どんどん延伸したパイプは全長150mにも達し、CO・OPねじり糸こんにゃくの製造ラインを確保するため、ついには専用の工場に建て替えるほどでした。
ところで、CO・OPねじり糸こんにゃくは何本の糸こんにゃくでできているか知っていますか? 答えは66本。ボリューム感を求めて120本を束ねたこともありましたが芯まで味が浸透せず、逆に少なく30本にした時はねじれの回転が強すぎて板こんにゃくのように固い食感になりました。味染みがよく、口でパラッとほぐれる理想的なかたちこそ、66本だったのです。
さらに原料はというと、群馬県産のこんにゃくいもとこんにゃく粉を50対50の割合で配合しています。こんにゃくいもは繊維質が豊富で密度が粗く、味が染み込みやすいのが特長。こんにゃく粉だけで作るより、ぷりっと弾力感のある歯応えに仕上がります。それではなぜ、CO・OPねじり糸こんにゃくは生いも100%で製造しないのでしょうか。
「年に1度しか収穫できないこんにゃくいもを生いもで貯蔵すれば、たいへんコストがかかります。それに製粉原料を使えば、密度が均一で安定した商品が作れます」と上杉さん。こんにゃくを知り尽くすメーカーのプライドが、30年来のロングセラー商品を支え続けているのです。
おでんや煮物で余ったCO・OPねじり糸こんにゃくを天ぷらに! 実はこんにゃくと油は相性抜群。カラッと揚がった衣とプリッとしたこんにゃくの歯応えが絶妙です♪
11月はこんにゃくいもの収穫期。旬の生いもを使用して製造した板こんにゃくは、この時期だけのお楽しみです。
奈良県橿原市にある橿原工場は、CO・OPねじり糸こんにゃくを作るため150mの温水パイプを配した独特の構造になっています。