常温で長期保存できて、お湯で温めるだけで食べられるレトルトカレー。常備されているご家庭も多いのではないでしょうか。中でもCO・OPビーフカレーは、低価格でありながら、具が大きく味も本格派とあって、幅広い世代から支持の高い商品です。
このCO・OPビーフカレーを製造するのは、三重県に本社を構えるヤマモリ株式会社。明治22年、醤油メーカーとして誕生し、実績を重ねながら日本で初めて袋詰め液体スープを開発しました。アポロ11号が月面着陸に成功した昭和44年、NASAによって宇宙で食べられるレトルト食品が開発され大きな注目を浴びると、その数ヶ月後にはいち早くレトルト食品業界に参入し、現在の主力商品のひとつ「釜めしの素」の商品化に成功。今やレトルト食品製造の大手企業です。
今回は、レトルト工場の規模としては日本最大級のヤマモリ株式会社 松阪工場を訪れ、低価格なのに本格派の味を実現しているCO・OPビーフカレーの製造現場をお伝えします。
(200g)
りんご・チャツネのフルーツにはちみつを加えたバランスのよい甘さ。
(200g)
りんご・チャツネのフルーツと、かくし味にココアを効かせたコクのあるソース。
(200g)
2種類のカレー粉に、レッドペッパー(唐辛子の粉末)を加えた、香り豊かなソース。
CO・OPビーフカレーは、全国で年間約1,100万食の利用がある人気商品です(2017年度)。原料の大量仕入れと生産性の効率化によって、これだけの低価格を実現しています。また「具の食べ応えがあっておいしい」という声が多いのもこの商品の特徴です。その製造工程には、色々な工夫があるのですが、製造現場に入ると、「家庭で作るカレーと同じ」という印象です。玉ねぎを切る匂い、炒める匂い、そして肉を炒める匂いから食欲をそそるカレーの香りへと変化していきます。醤油醸造の原点である「手間ひまをおしまずに、じっくりと育てる」は、レトルトカレーの製造現場にも生かされています。
にんにく・しょうがを炒め、玉ねぎは40分かけてじっくり炒めます。具が煮崩れしやすいにんじんやじゃがいもは調理の最後に投入し、食感を残します。ここまでは、手間ひまをかけた家庭の作り方と同じですが、品質管理のための努力は、やはりプロです。
生産現場でまず、驚いたのは、徹底的に異物混入を許さない仕組みです。松阪工場 製造部長の長谷川友宏さんは「人による目視が最初にありき」とおっしゃいます。肉を炒めた後は、肉の骨、脂身の多いものは取り除いて丁寧に選別。目視だけでなく、野菜原料類は強力な磁石の上を通して金属異物がないか確認、液体は1ミリの細かい網目を通します。金属探知機やX線検査機にすべて通し、異常のなかったものだけが製品化されて組合員の元に届くのです。
異物混入の予防だけでなく、品質保証のためのあらゆるリスクに備え、工場外には19台のセキュリティカメラ、工場内には品質保証を裏付けるためのカメラ102台が設置されていました。
ですが「どれだけ仕組みが整っていても、大切なのはやはり人」という考えから、「Aあたりまえのことを・Bばかにせず・Cちゃんとする」のABCを徹底し、万一規格、基準を逸脱した場合や異変を発見したら、すぐに連絡する管理体制、そして工場の改善活動として「何か変だなカード」の取り組みなどを実践。まじめで誠実な社風が伝わってきました。
牛肉は、オーストラリアまたはニュージーランド産。野菜をカットし、冷凍原材料はボイルします。目視、強力磁石による異物確認を行っています。
牛肉は炒めた後に骨・脂身の固まりなどの異物を除去。野菜、トマトペースト、スパイスなどの材料を順に調理釜に入れていきます。順番を間違わないよう原料はすべてバーコード管理。
レトルトパウチへ、カレーを詰めます。具材が均一になるように、カレーの粘度は計算されています。攪拌しながら充てんし密封したあと、加圧加熱殺菌します。
殺菌された商品は、X線検査機と2度の重量チェッカーを通って梱包されます。
調理工程までは、ご家庭のカレーを作る流れと同じ。品質に関しては安全なモノ作りが基本です。人の目と各検査機で異物がないことを確認しています。
2018年3月からレトルトパウチのPETフィルムに再生プラスチックを80%使用。環境への負荷が少ないと認められたものにつけられるエコマーク認定を受けています。
ユニバーサルデザイン協会より“裏面の掲載情報が効果的なデザインで見やすい表示”として、「情報の分かりやすさ賞」を受賞しました。
ヤマモリで作られている商品は、他にもたくさんあります。さがしてみてね!
210g(2合用)
鶏肉・ごぼう・にんじん・こんにゃく・油揚げ入り。国産具材にこだわった釜めしの素。
中辛200g(3~4人前×3)
豆腐を入れるだけで簡単調理。ひき肉入り。白ねぎで引き立つ豆板醤の辛味。
三重県・松阪港に隣接した工場は、甲子園球場より広大な約4万7千㎡という敷地面積に建つ巨大な食品工場。工場入り口には厳しい食品安全システムに取り組む証、〇〇認証工場の文字がいくつも並びます。