生協で〝もやし〟といえば紙袋入りの「緑豆もやし」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。この緑豆もやしは宅配での年間利用数が40万点(2017年度)を超え、農産品の中では滋賀の小松菜に次ぐ人気のある商品です。このもやしを作っているのは岐阜県中津川市に本社のある株式会社サラダコスモ。生協での取り扱いはコープしがができる前からで、30年以上の超ロングセラー商品です。
サラダコスモがもやしの製造を始めた当時は、漂白するのは当たり前だったそうですが、安全安心な商品を求めて業界で初めて、1973年に無漂白もやしを開発しました。また、もやしの品種も当時主流だった「ブラックマッペ」というちょっと細めの品種から、「緑豆」を使った太もやしづくりに取り組んだのもサラダコスモが最初ということです。
今回は、コープしがに届く緑豆もやしを生産している関西の拠点・兵庫県三木生産センターを訪問し、もやしづくりのこだわりを見てきました。
コープぜぜ店・コープもりやま店・コープかたた店ではこちらの袋でお買い求めください。
野菜炒めはもちろん、蒸したり、お好み焼きやサラダにも。
「もやしを漂白すると色が白くなるばかりか、漂白剤の効果により日持ちもよくなる」との理由からもやしを漂白するのが当たり前だった1973年当時。「漂白したもやしが健康によいわけがない」と、業界に先駆けて、無漂白もやしの製造を始められたのが(株)サラダコスモです。現在は、無漂白もやしが一般的になりました。
(株)サラダコスモの「安全・安心」へのこだわりは、今も変わることはありません。衛生管理も徹底されており、キャップは2枚重ね、マスクは耳にかけず被るように使います。さらにコンタクトレンズをしている場合はゴーグルを着用。また手洗いは30秒以上(タイマーがなるまで手洗い)、さらにゴム手袋の上からアルコール噴射する徹底ぶりです。
12室ある栽培室は、24時間365日のコンピューターシステム制御。腐敗菌や異物の汚染を防ぐため、基本的に数名の栽培管理者しか立ち入れません。
水で洗浄し、栽培台車に移された緑豆を約35℃の水に浸します。5~6時間で発芽した緑豆は、栽培台車のまま栽培室に移動します。コンピューター管理された栽培室は基本的に真っ暗で、天井から定期的に水が種子にかけられます。種子は発芽時に発熱するので、給水は、成長のためであると同時に発芽熱を下げるためでもあります。水をかけられながら、もやしはどんどん成長します。発芽したもやしはせり上がり、あふれんばかりに。発芽の力は強く、人が乗ったとしても持ち上がるほどだそうです。
1台で約100kgの緑豆が入った栽培台車を栽培室に入れてから、9~10日前後で出荷です。三木生産センターでは関西・中四国向けの商品を製造、多い日で約20万パック出荷されます。もやしは鮮度の劣化が早いため、洗浄されてラインに流れ、計量・包装されるまでを10分程度で完了します。作ったものをできるだけ新鮮な状態で早くお届けする仕組みが、しっかりと構築されています。
まさに採りたて。出荷の翌日午前中には、コープしがの物流センターへ。その翌日には組合員さんのお手元に届きます。お店の場合は、出荷日の翌日には店頭に並びます。
緑豆を水で洗浄し栽培台車に移す。約35℃の水で発芽させる。
真っ暗な栽培室に移動し9日~10日前後かけて育成。発芽したもやしがあふれそう。
もやしを洗浄し豆の皮部分、根をとる。
計量器で1分間に50~55袋を量り、包装機/金属探知機・ウエイトチェッカーを経て人による目視点検。
使用する中国・東北部の吉林省や内モンゴル自治区などの緑豆は、栽培の歴史も長く、気候・栽培地の特性からも高品質の緑豆です。日本と違って乾燥した高原地帯で厳しい寒さという気候風土から、化学肥料や農薬も比較的使用せずに済むのです。現在では、中国の発展とともに緑豆価格が往年の数倍となり、ミャンマー産なども取り扱います。
今後も安全な緑豆で安心なもやしを提供するために、サラダコスモではアルゼンチン自社農場での原料種子の栽培の取り組みなど独自の動きをすでにスタート。まだ商品化には至っていませんが、今後取り組みの成果が待たれるところです。
緑豆もやしの95%は水分。三木生産センターのある三木市は、日本一といわれている酒米・山田錦の産地です。お米も、もやしも水が命。三木生産センターのもやしは六甲山系の地下水で栽培されています。