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つくる現場から
食べごたえのあるシャキシャキ感 
産直 南出さんのフリルレタス

天然素材だけでできること

産直 南出さんのフリルレタス。
葉肉が厚くサクサク食感で苦味が少ないレタスです。毎週自動お届けの登録もできます。

 取材にうかがったのは、まだ寒さ厳しい2月上旬。JR野洲駅から車で約10分、びわ湖に注ぐ野洲川に近い場所にある南出農園は、土を使わない水耕栽培で農作物を育てています。

 敷地には大きな鉄骨のハウスがいくつも並んでいて、一番道路側に近いハウスのいちご園には、平日にもかかわらず、朝早くからたくさんの車がやってきます。

 フリルレタスでおなじみのこちらの農園で、3代目を務めるのが南出卓哉さん。ハツラツとしたさわやかな笑顔が印象的です。先々代から続く、みつ葉の水耕栽培に加えて「食卓に上りやすい野菜を」と、卓哉さんがフリルレタスの栽培を始められました。

 取材を通して、明日の農業のあり方、食の未来も見据え、様々な可能性を考えチャレンジを続けられる南出さんの姿が見えてきました。

フリルレタスってなに?

 「一般的な結球の玉レタスと違い、非結球レタスです」と話される南出さん。日本ではレタスといえば玉レタスとなりますが、「ヨーロッパでは玉にならないレタスが一般的」だとか。葉が巻いてしまう結球レタスに比べて非結球レタスは、すべての葉に光りが当たるので栄養価が高いそう。
「その食感はまさにシャキシャキ・パリパリ。肉厚の食べ応えのあるレタス」です。そのためサラダはもちろん、チャーハンなどの炒め物に混ぜたり肉に巻いたりと、結構使える存在です。南出さんのいち押しは〝レタスしゃぶしゃぶ〟。
「肉厚だから湯通ししてもシャキシャキ感が残りやすいのです」と教えていただきました。これは季節が本格的に暑くなる前に一度試してみる価値がありそうです。

栽培方法は水耕栽培

この様に水にプカプカ浮いています

 いちご園の隣りにある鉄骨ハウスが南出さんの第一農園。ここでフリルレタスが栽培されています。水耕栽培とは文字通り「水」を利用した栽培方法で、「土」を使わない育て方。水耕栽培はハウスでの栽培が基本で、一年中生産できる周年栽培となります。土壌がないため同じ作物を連作することも可能で、安定した価格と量で継続的に組合員さんに供給することができます。また水耕栽培は生育期間が短いのもポイント。夏場は40日前後、冬場は60日前後で収穫可能に。

太陽光と水にこだわり

太陽光に照らされて美しく育つフリルレタス

 水耕栽培のイメージは「人工光で閉鎖型の植物工場」をイメージされる方が多いかもしれません。実際LEDなどを使用した企業の大規模な野菜工場もありますが、南出農園では〝太陽の恵み〟にこだわります。

 鉄骨ハウスはとても明るく、フリルレタスのすべての葉にまんべんなく〝太陽の恵み〟が降り注いでいました。

 人間も植物もその多くが「水」で構成されています。「水」についてのこだわりをお伺いすると「強くこだわっています」とのお答えが。約100m下の地下水脈からくみ上げ使用されています。これは飲料水としても使用できる鈴鹿山脈より出でた伏流水です。

農薬の使用について

 農薬とは大まかにわけて「殺虫剤」と「殺菌剤」になります。まず、「殺虫剤」はほぼ使用していません。
ハウス栽培のため基本は害虫の侵入を防いでいます。もし仮に侵入された場合は、被害にあった分のみを廃棄するようにしています。

 「殺菌剤」に関しては、例えば湿度が高い梅雨の時期・秋雨の時期だけ使用します。基本的に野菜の病気はカビに関するもの。カビの発生しやすい時期、病気が発生してから事後対応すると、殺菌剤を撒く回数が増えてしまい、結果的に使用量が多くなります。そのため一回だけ、小さな苗の段階で予防のために使用しています。収穫時には、紫外線で殺菌剤の成分も分解されてしまいます。これも一般的な栽培より殺菌剤使用は少ないということができます。通常の時期にはこの殺菌剤も使用していません。いわゆる減農薬栽培ですが、農薬はほとんど使っていないのが実態です。

コントロールはタブレットやスマートフォン

 植物は光合成をするほど栄養価が高くなると言われています。南出農園では温度・湿度・二酸化炭素・水・肥料などの条件を最適になるよう自動制御。南出さんが農場から離れていてもタブレットなどでフリルレタスに一番よい条件にハウス内をコントロールすることができます。

 「人工的に栽培条件を制御できるのが、ハウスによる水耕栽培の特徴のひとつ。温度も湿度も常に最適に保っています。それから、ハウスの水耕栽培はいつ播種をすれば、いつ収穫できるのかがわかる。効率的で、生産者にも野菜にもメリットの多い栽培方法なんですよ」と教えていただきました。

明日の農業を見すえて

 「比較的小さい面積でより多くの農作物の栽培ができることがメリットのひとつ」「毎日・同量・続けて栽培でき・天候に左右されず収穫できます」と南出さん。平日だけの作業で土日は休むという働き方↓もしやすいとのことで、南出さんの大きな願いのひとつである「農業のイメージを変えたい」にもつながります。また現在、中国・上海で設備を自社設計し、現地で水耕栽培の実験もされています。日本の生産者人口が減少する中、南出さんの挑戦は続きます。

フリルレタス Q&A

最適な保存方法は?
冷蔵保存が基本。日持ちがするよう南出農園では栽培時のウレタンをつけたまま出荷しています。ウレタンは外さずに冷蔵庫の野菜室で。お届けしてから約1週間は新鮮さが保たれたままご利用できます。
洗わなくてOKでしょうか?
地上から約80㎝高のベンチで育てています。土は付いていませんが、ホコリを払う意味でさっと水洗いする程度で大丈夫です。
結球レタスより栄養価が高い?
β-カロテンが結球レタスに比べて約10倍多いといわれています。
苦味が少なくおいしい理由は?
栽培期間が短く早く成長します。肥料(窒素)を吸収しすぎていないので苦味やえぐみが比較的少ないと思われます。

組合員さんへのメッセージ

有限会社南出農園・株式会社フェリーチェ 代表取締役 南出卓哉さんと久仁子さん(2017年秋の商品大交流会にて)

 組合員のみなさんこんにちは。いつもご利用ありがとうございます。
30年前に祖父がみつ葉の水耕栽培を始めました。私は大学で学びながら水耕栽培で有名な全国各地の生産者のもとへ行き、約一年間住み込んで知識の習得に努めました。全国を行脚した際に得たノウハウでいちご栽培もスタートさせました。今後はレタスの種類を増やして組合員さんの選択の幅を広げていただけるような取り組みも考えています。


南出さんのいちご園へGO!

約8,500平米の広大な敷地で、55,000株のいちごを育てています。お子様から大人の方まで、思う存分いちご狩りを楽しんでいただけるようスタッフ一同心を込めて育てております。滋賀へのドライブやご旅行の際には、ぜひお立ち寄りください!

JR野洲駅から徒歩約30分。駐車場有り。
5月下旬まで、30分間食べ放題!(2018年4月号掲載時の情報です)

詳しくはウェブサイトまで ⇒ いちご園「フェリーチェ」

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