広島県JR福山駅から車でおよそ30分。広島県との県境に近い岡山県笠岡市に本社工場を構えるカネソ22は、ブレンドした天然素材だけをティーパックに詰め込み、だしを抽出する、手間いらずの〝味パック〟を全国で初めて開発した食品メーカーです。
同社の創業地・福山市は、もともと削り節の「花かつお」という食品文化を作り出した安部和助の地元。カネソ22も、大正5(1916)年にこの地で創業した削り節メーカーとして歴史ある企業です。昭和37年に初めてティーパックを使用した業務用「味パック」を開発。当初は業務用が中心となりましたが、昭和49(1974)年に関東の生協との出会いがあり、それ以来全国の生協へと取り扱いが拡大。現在ではコープしがでも組合員からの支持が厚い商品となっています。
味パックの安全性はもちろん、素材のこだわり、味パックのこんな使い方、上手なだしのとり方、レシピなど、カネソ22を訪問し、お話をお伺いしました。
大正5(1916)年の創業以来、かつお節製造を続けてきたカネソ22。戦後、前会長が「花かつお」輸出先のアメリカ出張の際にヒントを得、「紅茶のティーパックのようにだしが手軽に取れないか?」と考えたのが味パックの誕生のきっかけです。
当時日本では紅茶のティーパックがまだなく、すべて手探りでの商品開発。ようやく昭和37(1962)年に「味パック」が完成し、まさに画期的なアイデアが現実のものに。現在、ティーパックはヒートロンペーパー(接着繊維が組み込まれた素材)を使用し、熱で自動接着できますが、当時は機械メーカー・資材メーカーとの創意工夫でティーパックでの製品化にこぎつけたのです。
「味パック」は当初、業務用が中心でした。発売当初は一般消費者向けの認知・理解が広がらず、販売数が伸びなかったそうですが、「きっかけは埼玉県の大学生協で、業務用を採用されたこと」と語る社長の豊田さん。大学生協の食堂スタッフのご家族が関東の生協職員で、その後生協商品として昭和47(1972)年にデビュー。そして全国の生協へ取り扱いが拡がりました。滋賀県を含む関西で生協商品になったのが昭和53(1978)年となります。
「原料はこれだけ」と研究室室長の長門利恵さん。明るい笑顔で「6種類の国産素材だけを使って製造しています」と話されます。「昭和53年に、組合員さんの声をもとに味を決めて以降、基本配合比率はあまり変更せず現在に至ります」。水産品はすべて国内港水揚げのもの、昆布・しいたけなども国産です。原料のメインはいわし(煮干し)です。そのほか、あじの煮干し・かつおぶし・さばぶし・昆布・しいたけの6種類が原料になります。
かつおぶし | 静岡・鹿児島などで水揚げ |
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いわし煮干し | メインは長崎、瀬戸内・山陰、熊本など |
しいたけ | 九州・北海道・中国地方などから |
あじ煮干し | 長崎・山陰などの西日本 |
さばぶし | 熊本・静岡・愛媛さんがメイン |
昆布 | 北海道 |
「味パック」は6つの素材から出るだしのうま味を、手軽にすぐ利用できるのが最大のよさ。「もし素材毎にだしをとってそろえると大変な作業です」と豊田社長。いつでもすぐ、お手軽に、おいしいだしがとれるのが「味パック」。また3つのうま味成分の相乗効果でおいしさもアップします(昆布がグルタミン酸、しいたけがグアニル酸、煮干し・かつお節がイノシン酸)。忙しい方に便利なだけでなく、「味パックを利用した離乳食」などもおすすめ。やさしさも含まれています。
使い方ワンポイントは「前の晩から」。
朝のおみそ汁を作る場合は、前の晩から水に浸つけておくと、煮干しなどもふやけて柔らかくなり、よりうま味が出やすくなります。ただ夏場は衛生上冷蔵庫に保存していただくことがおすすめです。
米3合に味パック1袋がおすすめ&具材はお好みで!
炊飯器に具材と一緒にポン! そのままいれるだけ。香りもナイスな「たきこみごはん」が出来上がります!
原料はよい状態を保つため、入荷後は低温保存
粉砕前に魚に付着している異物は風力・金属探知機・マグネット・目視で除去
ふるいにかけて粒をそろえます。微粉末は別工程へ。
個別で粉砕したかつおぶし、さばぶし、昆布・しいたけも配合機でブレンド
ヒートロンペーパーに充てんし、製品パックの6 袋ごとに包装
製造後は午前と午後の製品抜き取りチェックで、実際にだしをとり風味にブレがないかを確認