電子レンジでチンするだけで、ホカホカのおいしい豚まんが食べられる。今では当たり前のことですが、CO・OP 具たっぷり豚まんの発売が開始された1997年当時は大変画期的なことでした。
「20年以上も前、日本生協連の関西支所から『もっと簡単に調理ができる豚まんを作ってほしい』という依頼がありました」と、株式会社メイショク 常務取締役・企画開発室室長・品質管理室担当の木下英保さん。それまでの豚まんは蒸し器を使い、最低でも15~20分の調理時間を必要としていたので、組合員の中では気軽に楽しめる豚まんを熱望する声がとても多く上がっていたのです。
(株)メイショクは黒毛和牛を筆頭に牛・豚・鶏肉の食肉加工を得意とし、兵庫県加古川市に1万3000平方メートルの広大な工場をもつ食品加工会社。同社が、CO・OP 具たっぷり豚まんの開発に着手した当初、まずぶつかった難題が、蒸し器と同じくらいふっくらとした皮の質感を電子レンジで再現することでした。
「当時、電子レンジは一般家庭に今ほど普及しておらず、機械の性能にもばらつきがありました。そんな中、市販の小麦粉を少しブレンドしただけで、あのふっくら感は出せません。なにせ、蒸し器の豚まんと比べてダメ出しをされるんですから(笑)」と木下さん。
そこで製粉会社と共同で、豚まんの皮に使用する粉の開発から手掛けることに。最初はふっくら感を出すために薄力粉に近い粉を考えていましたが、賞味期限が1年と長い冷凍食品に対し、粘り気の弱い薄力粉や中力粉は不向きです。次に強力粉に近い粉を使ってみましたが、今度は粘り気が強すぎて思うように機械が作動しなくなりました。
「乳化剤や酸化防止剤など添加物の力を借りるしかないと思いました。しかし、日本生協連は『添加物はなるべく使わないでほしい』と。弊社の豚まんの皮の材料は、小麦粉・砂糖・油脂・イースト・トレハロース・膨張剤で作っています」。通常であれば3ヶ月ほどで済む新商品の開発が、具たっぷり豚まんに関しては、なんと丸1年を費やしました。それでも、「組合員の要望に100%応えたい」という開発担当者の強い意志がそこにはあったのです。
同社では、26年前から食品の製造管理にHACCP方式を取り入れており、豚まんに使用する主原料(豚肉、野菜)は産地から生産者まで辿ることが可能です。
CO・OP 具たっぷり豚まんの主原料には、国産の豚肉と国産の玉ねぎやキャベツ、中国産たけのこが使用されています。まず豚肉は、うま味が多い赤身のうで肉を生のままかたまりで仕入れ、製造日の朝から肉粒感を残してミンチにしています。また、鮮度が命の玉ねぎも工場内でカット、キャベツは入荷後低温で寝かせて甘みを増したものを使用しています。たけのこは、20年以上も前から国際的な品質管理の認証を取得している中国のたけのこ工場のもの。産地にも足を運び、管理された広大な竹林で採取され、2時間以内に湯がく製造工程と品質保証体制をつぶさに現認しています。
“具たっぷり”と謳うだけに、この豚まんには50%も中具が入っています。「小さな子どもが食べた時、どこからでも中の具に届くように」という心遣いが込められています。同時に、徹底した品質保証で数多くの安心安全に対するこだわりが込められているのです。
皮にこだわり、具材にこだわり、ようやく完成にこぎつけたCO・OP 具たっぷり豚まん。いよいよお披露目となった時、ある学習会でこんな出来事がありました。「皆さんがおいしい、おいしいと食べてくださる中、1人の組合員さんが『この豚まんに牛乳や卵は入っていますか』と聞かれました。『入っています』と答えると、『じゃあ、これは買えません』と。その方には強いアレルギーをもつお子さんがいらしたのです」。
豚まんの形を安定させるため使用していたパン粉に、乳と卵が入っていました。早速、メーカーに乳と卵が入っていないパン粉を依頼。わずかでも乳と卵が混入しないよう、工場内で製造する他の商品のパン粉まで切り替える必要がありました。
「まだアレルギー表示の義務化もされていない頃、1つの商品のためにすべての仕組みを変えるのは大変なことでしたが、組合員さんのあのひと言で、弊社はずいぶん早くからアレルギー対策を行うことができました」と木下さん。
思えばCO・OP 具たっぷり豚まんは、組合員の声にはじまり、組合員の声によって20年間進化を続けてきました。さらに去年は加熱前に水で濡らさなくても皮はふわもち、具材はジューシーに仕上がるように改良。組合員の細やかな要望を受け取りながら、これからも愛される商品に成長していくでしょう。
去年リニューアルしたCO・OP 具たっぷり豚まんは、加熱前に水で濡らす必要なし! お皿に移してラップをかけ、電子レンジでチンするだけ。加熱が終わったらラップをかけたまま1~2分蒸らすのがコツ。さらにふんわり仕上がります!
もう一つ、おすすめの裏ワザが「チーズ豚まん」。スライスチーズを豚まんに乗せて電子レンジで温めるだけ。ただし、“とろける”ではなく“とろけない”ほうのスライスチーズで。チーズがラップ代わりになって、おいしさもアップして一石二鳥です。
310g
もっちりつるんとした皮の中で、国産豚うで肉の旨みがしっかりと口に広がります。
780g(2~3人前)
鰹と昆布をきかせた関西風の特製スープと、国産鶏の肩小肉、鶏だんごに北海道産小麦粉で作った稲庭風うどん2玉をセット。