生協で1983年に誕生した「コアノンロール」。名前の通りトイレットペーパーの芯(コア=紙管)がありません。ひと巻きが長く、一般的なトイレットペーパー(60m)の約2倍以上で長さ130m。さらに再生紙を100%使用しています。産業古紙を中心に商品案内書や牛乳パックなどを原料としたリサイクル商品です。
今回紹介するのは、数社あるコアノンロールのメーカーの中から、大阪市泉南市の株式会社リバースです。CO・OP やわらかワンタッチコアノンを生産されています。2013年のコアノンロール誕生30周年の改良では、「もっとやわらかく」という組合員さんの声に応え、“やわらか加工”(ペーパーの表面に小さな凹凸を施す)をすることで、よりソフトな肌ざわりに改良されました。
「古紙を原料として扱うのは大変難しいです。異物が入っていることもあり、原料も一定していません。」と語る(株)リバースの工場長代理・味村さん。リサイクルの現場では毎日の工夫や気づきが大切だそうです。
シングル(130m)・ダブル(65m)
★太穴タイプ
トイレットペーパー製造企業として平成14年創業。家庭紙および再生紙での製紙業界への新規参入は50年ぶりのことでした。親会社は奈良県御所市にある最終処分を担う株式会社南都興産。廃棄物を受け入れるだけでなく、ゴミ減量やリサイクルなどで社会貢献できないか、との思いから「古紙」を扱うリバースが誕生。
社名リバース(Rebirth)は再生・復活という意味です。
やわらかワンタッチコアノンは芯(紙管)をなくしたトイレットペーパーで、中心が保湿剤で固められています。原料はリサイクルされた古紙による再生パルプ100%。ここ大阪府泉南市の(株)リバースのワンタッチコアノン生産量をトイレットペーパー1個当たりで換算すると、年間約278万8千ロールになります(※コープしがを含むコープきんき全体のロール数)。
リサイクルされる古紙は「破った時の断面が白いもの」となります。基本的にオフィス古紙、牛乳パックが中心ですが、商品案内書やきっぷ、感熱紙なども。「リサイクルは古紙原料として出すだけでなく、リサイクルされた商品を使うことで成り立ちます」と味村さん。ワンタッチコアノンを使うこと自体が「リサイクル」の大切な一環です。古紙リサイクルは森林の保護につながり、環境負荷低減・地球温暖化防止にも貢献します。
古紙から原料のリサイクルパルプになるまで「溶解」「熟成」「精選」「脱墨」という流れをたどります。まず古紙を「溶解」「熟成」させ、紙を繊維にもどします。「熟成」とは簡単に言えば紙をほぐす工程。次に「精選」工程では、古紙につきものの異物(クリップやバインダーの金具などの「重量異物」と、紙になることができない微細繊維や牛乳パックのポリエチレンフィルムなどの「軽量異物」の2つ)を除去し、さらに「脱墨」工程で印刷物のインクなどを除去します。そうしてようやく紙になる原料のパルプ(繊維)が完成です。
いよいよパルプ(繊維)が紙になるのが抄紙工程。原料パルプを薄く延ばし、瞬時に乾かしてトイレットペーパーの原反として巻き上げられた巨大なロール(ジャンボロール)は1本あたり4万5,000m(45㎞)。直径2.1m、幅2.5m、重さ1.8~1.9トン。1本巻き上げるのにおよそ一時間。「リバースでは1日でこのジャンボロールが約40本生産できます」と五十棲さん。
原反からトイレットペーパーにするにはジャンボロールをさらに鉄芯に巻き返して丸太(ログ)を作ります。この段階で製品によってミシン目や肌触りのよくなるエンボス加工なども同時に施します。そうしてこの丸太をトイレットペーパーのサイズに輪切りカット。カットされたものはラインを見事に流れ、包装・段ボールケースに詰められていきます。
リバースでは、古紙から分離された軽量異物はリサイクル燃料としてボイラーで焼却します。その「蒸気と熱」は工場で利用。焼却されるのは、ポリエチレン・うすい被膜のプラスチックなど(軽量異物)です。これは「サーマルリサイクル(廃棄物の焼却の際に発生する熱エネルギーを利用すること)」と呼ばれ、リバース利用分は石油換算すると年間5,000キロリットルもの熱量となります。またこれらの再利用で工場の廃棄物を80%減量。さらに製造に使用された水(地下水)は施設内の排水処理施設で浄化された後に放流しています。生物処理(濾過)と化学処理をそれぞれ2回ずつ繰り返して水を浄化。ここで発生する汚泥は年間約1万3,000トンですが、これもボイラーの燃料として活用します。リバースでは徹底したリサイクルが確立されています。
古紙・牛乳パックなど約1,400トンを保管(およそ2週間分)
サイズの大きな紙をあらかじめ破砕し、古紙・紙パック・オフィス古紙などを釜で溶解
溶解した古紙原料はタワーで熟成(約8~10時間)
①バインダーの金具・クリップなどの異物除去(重量異物)
②ポリエチレン、紙にならない微細繊維などの異物除去(軽量異物)軽量異物の一日量だけでも約3.5~4トンあるそうです
液体になった古紙パルプから印刷物などのインクを除去
精選された古紙パルプから紙に巻き上げ(繊維から紙へ)
ジャンボロール(原反)から丸太のように鉄の芯に巻き返し(ログ)、さらに巻き返したログを製品サイズにカット
製品ごとに包装し段ボールケースなどに詰められ倉庫へ
工場内に排水処理施設を設置し、排水基準を満たした後に排水を放流。浄化後の水で金魚によるモニタリングを行っています。
CO・OPコアノンシリーズの組合員さんの購入1パックにつき1円がアンゴラ共和国へ送られます。
全国の募金総額は 6,932万2,108円(2011年11月~2016年10月末)です。
アフリカ南西部の国。1971年独立後、1975年から2002年まで内戦。内戦終了後は経済発展する中も未だ未処理の地雷など数多くの問題がある。コアノンの利用による支援はユニセフを通じてアンゴラの子どもの「学習環境整備」のために使われています。学校内の「トイレの設置」「安全な水の整備」また「先生の育成」などです。