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つくる現場から
にんじん嫌いの子どもを笑顔に 
CO・OP ミックスキャロット

家族の健康を守るため毎日の食卓ににんじんを

 子どもが嫌いな野菜といえば、必ずその名が挙がるにんじん。だけど親の本音としては、ビタミンAをたっぷり含んだにんじんを、子どもたちにはおいしく食べられるようになってほしい…。そんな組合員の願いから、1981年にミックスキャロットは誕生しました。以来、35年以上に渡ってロングセラーを続けるコープ屈指の人気商品。「毎日の家族の習慣に」と、親子三世代で飲んでいる家庭も少なくありません。

 「去年、リニューアルをしてからの実績ですと、毎月平均10万ケースを出荷しています(※1ケースに125mlの紙パックが12個入り)」と、株式会社ふくれん 第一営業部の濱崎高伸さん。缶・ペットボトルを除く、125ml及び200mlの紙パック容器に入ったミックスキャロットに関しては、福岡県朝倉市にある(株)ふくれんの甘木工場で、製造出荷されています。(株)ふくれんはJAグループの会社で、主な事業は、農作物の特性を生かした飲料や食品の開発・加工です。

ロングセラーの秘訣は声を元にしたリニューアル

 販売開始から36年。ミックスキャロットがこれだけ長く愛されるのは、嗜好の変化や健康志向の高まりなど、時代が求めるニーズに合わせて柔軟にリニューアルを行った結果といっても過言ではありません。まず1度目のリニューアルは2003年。「甘さを控えてほしい」という組合員の声を受け、オレンジを追加してさっぱりとした味わいに。2度目は2010年に「大人が飲むにはまだ甘い」という声で、にんじんの配合率を50%にアップ。さらにいちごやパインを追加して、すっきりとフルーティに。また、2014年の3度目には、にんじんの繊維分やマンゴーを追加して、より大人好みの深みのある味わいを意識して作りました。

 そして2016年の4度目のリニューアルでは、「家族の健康を守るために」というミックスキャロットの原点に立ち返り、にんじんやりんご果汁といった主な原材料を、なるべく国産で調達するようになりました。「農作物の産地偽装など様々な問題がある中で、子どもたちが安心して飲めるものを作りたい。現行品では国産原料83.5%の使用比率を実現しています」と、(株)ふくれん 商品開発部の久良木正秋さん。ほかにも素材の味をしっかりと生かすため、りんご果汁をフルーティでコクのある混濁果汁100%に変更するなど、これまで以上に思いきった改革で、順調に売り上げを伸ばしています。

さらなる安全安心のためほとんどの原料を国産に

 しかし、何度もリニューアルを重ねる中で、ずっと変わらないものがあります。それが、砂糖・着色料・香料を一切使用しないというポリシー。にんじん独特のえぐみがなく、すっきりと飲みやすいため、「何か添加物が入っているのでは?」と心配する声もありますが、あくまで素材本来の味。そのため原材料には何よりもこだわります。「にんじんは九州産を中心に、12~3月の冬採りに限定しています。夏に比べて冬はゆっくり育つため、中に栄養分をたっぷり蓄え、甘みが強く、色鮮やかなオレンジ色になるんですよ」と久良木さん。さらに冬場は害虫が少ないため、農薬を使う量も少なくて済むメリットもあります。

 また、りんごは青森県産や長野県産、うんしゅうみかんは九州産や和歌山県産の旬の時期のものを使用。国内ではどうしても調達しにくいオレンジ・レモン・パイン・ぶどう・バナナについては海外で搾汁した原料を輸入しますが、商社を通じて現地の加工工場を検査するだけでなく、日本生協連が定めた100以上もの検査項目で抜き打ち検査を実施して徹底した品質管理に取り組んでいます。

にんじんのえぐみを感じない独自製法を模索

 原材料へのこだわりはもちろんですが、砂糖・着色料・香料を使用せず、おいしいジュースを作るためには製造工程にも秘密があります。まず、へたや薄皮を取り除き、洗浄したにんじんを、およそ90℃の熱湯に湯通しします。これをブランチングといい、栄養分を分解したり、変色を進める酵素の活性化を防いだりします。さらに搾汁、殺菌の工程を経て水分を蒸発させ、約7倍の濃度までにんじん成分を濃縮し冷凍保存します。

 「ところで、濃縮還元ジュースとストレートジュースでは、どちらがおいしいと思いますか?」と久良木さん。確かに、しぼりたての果汁を冷凍・加熱処理したストレートジュースに対し、水分と一緒に風味が飛びやすい濃縮還元ジュースはあまりおいしいイメージがありません。「でも、野菜ジュースに関しては、えぐみや青臭さが抜けるので逆においしくなるんですよ」。まさに目からウロコの発想です。

 濃縮し、冷凍した原液をゆっくりと解凍し、異物を除去。続いて6tの巨大なタンクで調合したあと、再び網や磁石・サイクロンと呼ばれる機械で異物を除去し、にんじん・果物に含まれるビタミンの酸化を防ぐため、デアレーターで酸素の除去を行います。そして、112℃で30秒間加熱殺菌し、急速冷却したジュースをパックに詰める無菌充填を行います。この充填方式の採用で、常温でも180日間の賞味期限を保てるようになり、子どもから大人まで手軽に飲めるヒット商品になりました。今やミックスキャロットは、野菜不足に陥りがちな現代で、家族の健康を守ってくれる心強い味方です。

九州産を中心に、12~3月に収穫した甘みが強く、色鮮やかなにんじんを使います

① ブランチング

湯通しでアク抜きを行い、栄養成分を分解する酵素や変色を進める酵素の働きを抑制します

② 濃縮

減圧して短時間で水分を蒸発させ、約7倍に濃縮・冷凍保存。にんじんのえぐみが飛んで、まろやかな風味になります

③ 調合

濃縮したにんじんと果汁の原液を、6tの巨大なタンクで調合。着色料不使用でも鮮やかな色味です

④ 異物除去

フィルター、強力なマグネット、遠心力を使用して異物を取り除きます

⑤ デアレーター

真空状態で酸素の除去を行うデアレーター。にんじんや果物のビタミンが酸化するのを防ぎます

⑥ プレート式殺菌機

112℃で30秒間加熱殺菌し、20℃の常温まで急速に冷却します

⑦ 充填

常温で長期保存が可能な無菌充填方式を採用。殺菌処理した容器にジュースを詰めます

⑧ 完成

完成したミックスキャロットは一つひとつにストローが付けられ、賞味期限を印字。箱詰めにされます

ミックスキャロットの変わらないこだわり

原料はにんじんと果物だけ 素材本来のおいしさを大切に
国産原料 83.5%

① 着色料は使用していません
② 砂糖は使用していません
③ 香料は使用していません


ちょっとアレンジ! 
ミックスキャロット重ねパンケーキ

ミックスキャロットを使って、ヘルシーなデザートづくりにチャレンジしてみてはいかが? おすすめレシピは、「重ねパンケーキ」。ミックスキャロットとホットケーキミックス、卵を混ぜ合わせ、フライパンで薄く焼き、焼けたら上に生地を塗って再び焼く、の繰り返し。すると、あら不思議! ミルフィーユ状の重ねパンケーキのできあがり。簡単なので、ぜひトライを。


材料(6人分)

ミックスキャロット180ml、ホットケーキミックス200g、卵1個

お話を伺った人

左から (株)ふくれん 第一営業部 濱崎 高伸さん、商品開発部 久良木 正秋さん

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