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つくる現場から
ふんわりとした食感は毎日の幸せ
CO・OP 熟仕込食パン

毎朝の食卓の顔が待望のリニューアル

 1日を元気にスタートするための朝食として、さらには手軽なランチや3時のおやつとしても大活躍の食パン。毎日食べるものだからこそ、味や食感、原材料にまでこだわる人は少なくありません。

 CO・OP 熟仕込食パンは、2004年にコープきんき事業連合で共同開発された商品であり、「よりしっとり、よりもっちり、より柔らかに」をコンセプトに、昨年6月にリニューアルしました。現在は近畿一円と北陸に毎週約3万斤が出荷され、その製造を奈良県桜井市にある巽製粉株式会社が請け負っています。

 そもそも巽製粉(株)は、そうめんの産地として名を馳せる三輪の地で、そうめんづくりに欠かせない小麦粉の製粉会社として1887年(明治10年)に創業しました。その後、製粉事業を通じて豊かな食文化を創造するため、1973年に製パン部門と手延そうめん部門を設立したのです。今回リニューアルを遂げたCO・OP 熟仕込食パンは、小麦粉を知り尽くすそんなプロの手によって毎朝製造されています。

しっとり感の秘密はパネトーネ種にあり

 「“よりしっとり”を追求するため、弊社ではパネトーネ種を使用しています」とは、巽製粉(株)フローベル製パン事業部営業部長の大堂敦大さん。パネトーネ種とは、自然酵母や乳酸菌を生きたまま濃縮した発酵種の一種であり、長時間発酵することでパンの日持ちをよくすることが知られています。しかし、巽製粉(株)では、パンの賞味期限を延ばす目的ではなく、きめ細かくしっとりとした食感に仕上げるために、パネトーネ種を採用しました。

 「弊社の製造部長からの提案で、パネトーネ種を配合すると、生地にしっとり感が生まれることが試作を重ねてわかりました。さらにうれしい効果として、パネトーネ種はしっとり感だけでなく、風味のよさまでもたらしたのです」。これは思いも寄らないことだったそうですが、組合員さんからよく「バターのいい香りがする」と、試食のたびに言われていたそうです。

 しかし、CO・OP 熟仕込食パンにバターは一切入っておらず、おそらくこのパネトーネ種の賜物ではないかと考えています。実際に巽製粉(株)の従業員に、パネトーネ種入り・なしの熟仕込食パンを食べ比べてみてもらったところ、満場一致で「パネトーネ種入りの方がおいしい」という結論に達しました。

お話を伺った、巽製粉(株)フローベル製パン事業部営業部長・大堂敦大さん(左)と製造部長・宮川義行さん(右)

小麦粉にパン酵母(イースト)や仕込水を加えて中種生地を作り、温度27度、湿度80%の発酵室へ。発酵後、さらに残りの材料を加えてミキシングする「中種製法」を採用しています。

この乳白色の液体が、自然酵母と乳酸菌を濃縮したパネトーネ種。しっとり感と風味のよさを引き立てます。

もっちり感が際立つ湯種ゆだね製法を取り入れて

熱湯でこねた生地をひと晩寝かせて湯種にします。パン生地の一部に湯種を混ぜることで、独特のもっちり感が生まれます。

 さらにもう一つの課題である“よりもっちり”を実現するため、巽製粉(株)では湯種ゆだね製法を取り入れました。湯種ゆだね製法とは、熱湯でこねた生地の一部を加えることで、甘みや粘りを出す方法です。「たとえばお米をそのまま食べてもおいしくはないですよね。お米と水を加熱して炊くからこそ、甘みと粘りが出ておいしくなります。それと同じ現象が小麦粉でも起きるのです」と大堂さん。

 近年では湯種製法を採用する製パン会社が増えましたが、小麦粉を知り尽くす製粉会社が母体だからこそ、そのこだわりもひとしおです。製造部長の宮川義行さんは、「パネトーネ種と湯種の配合量を決定するのが最も難しかったですね。何度も何度も試作を繰り返し、ベストのバランスを割り出すのに苦労しました」と振り返ります。

 また、小麦粉の産地については、たんぱく質の含有量が多く、パンが柔らかくなるというカナダ・アメリカ産を使用しています。外国産の輸入小麦ということで残留農薬等を心配される方もおられると思いますが、日本に輸入されるものは日本の法律で管理されます。食品衛生法でADI()に基づいた残留農薬基準が定められており、この基準を超えたものは流通しませんので、安全性は確保されています。
ADI:一日許容摂取量=生涯にわたり毎日摂取し続けても影響が出ないと考えられる量

小麦粉を熟知した製粉会社のこだわり

(左)成形し、再び発酵させた生地をオーブンへ。約210度で35分焼成します。焼き上がった食パンは、冷却しながらベルトコンベアで運ばれます。
(右)最後の検品作業は人の目で。型崩れしないよう丁寧に箱に詰め、毎朝出荷されています。

 ところでパンの製造には、挽き立ての小麦粉がいいのでしょうか、それともある程度熟成させた小麦粉の方が向くのでしょうか。「たとえばそばなら“挽き立てが一番”などといいますが、もしも挽き立てでパンを作れば、べちゃっとした食感になってしまいます」。そこで巽製粉(株)では、20~30日間熟成させた小麦粉をパンの製造に使用しています。これを専門用語で“エイジング”とよぶそうですが、一般的な製パン会社が10日~2週間程度エイジングさせた小麦粉を使うのに対し、巽製粉(株)ではほぼ2倍の期間をエイジングに費やします。これは、創業以来検証し続けたデータを元に割り出した、ベストな熟成期間だそうです。

 また、安全・安心を考慮して、添加物のイーストフードや乳化剤を省いた点も評価すべきところでしょう。「パン酵母(イースト)を活性化するイーストフードの代替品として、弊社では食品に分類されるアセロラ果汁粉末とトウモロコシ粉末を使用しています」。

 従来品を凌ぐおいしさと安全性を両立させた新しい熟仕込食パンは、店舗や宅配で製造された翌日に、組合員の皆さんのお手元に届きます。

パンの保存法

一番よいのは常温、続いて冷凍庫保存。冷蔵庫はNGです。冷蔵庫内の温度は平均して3~5度で、パンに含まれるでんぷん質が最も劣化しやすい温度といわれています。

おすすめレシピ
「ハニートースト・バニラアイスのせ」

熟仕込食パンは、4枚・5枚・6枚切の3種類がありますが、しっとり感ともっちり感をより感じてみたい人には、最も分厚い4枚切がおすすめです。そこでぜひ試してほしいのが「ハニートースト」。トーストした4枚切の熟仕込食パンにバターとはちみつをたっぷり塗って、再びトースターへ。二度焼きでしっかり生地にバターとはちみつを染み込ませ、こうばしく、豊かな甘みが楽しめます。

レシピを教えてくれた、巽製粉(株)フローベル製パン事業部 営業課長 石井康成さん