本文へ

つくる現場から
産直ぶどうデラウェア

 初夏の訪れが感じられる5月頃から8月中旬まで楽しめる、小粒のぶどう・デラウェア。種がなく食べやすいため、小さな子どもから年配の方まで幅広い世代に愛されています。お弁当に添えるデザートとして重宝している方も多いようです。

 デラウェアは明治時代に米国から導入され、約120年にもおよぶ歴史があります。当時から、大阪府羽曳野市の周辺では栽培がさかんに行われており、大阪府のデラウェア収穫量は、山梨県、山形県に次いで全国で3位。そのうちの約5割は羽曳野市で生産されています。

 「産直ぶどうデラウェア」を生産しているのは、羽曳野市の「なかむら農園」さん。コープしがとは約40年のお付き合いです。5代目の仲村知也さんは、羽曳野市や周辺地域に50ヶ所、合計10ヘクタールという広いデラウェア畑を持つ大農家さんです。「安全でおいしいぶどうつくり」という仲村さんに、デラウェアの農園を案内していただきました。

果物の中で糖度の高さはピカイチ

遠くに白く見えるのもデラウェアのビニールハウスです

 デラウェアは、粒は小さいですが糖度が22~23度と果物の中で最も高く、多汁でおいしい果物です。デラウェアにはもともと種がありますが、「種なし」にする技術は日本で開発されました。開花前と開花後の2回、人工的に合成した植物ホルモンの一種であるジベレリンの溶液に浸す処理をすることで「種なし」のデラウェアができあがります。ジベレリンは種の中で生産され、植物の実を大きくするホルモンで、安全性には問題のないものです。

 種がないと食べやすいだけでなく、種の周りにある酸味が取れて味が良くなります。また、種ありのものよりも約1ヶ月早く成熟します。

明治時代から愛される羽曳野のデラウェア

色づきを待つ春のデラウェア

 収穫を迎える少し前、4月に産地を訪れてみると、大きなビニールで覆われた場所がいくつもありました。遠くから見ると太陽光パネルが並んでいるようですが、これは山の急な斜面に植えられたデラウェアのビニールハウス(左上の写真)なのです。

 羽曳野市は内陸地にあり、温暖で雨も雪も少ないため、デラウェアの生産条件に向いているそうです。昭和40年頃までは、キャンベルやベリーA、巨峰、ネオマスカットなどの大粒のぶどうが主に作られていましたが、現在は多くの農園でデラウェアに切り替えられています。

 仲村さんも、昔は大粒のぶどうやモモ、柿、スモモなどを生産していましたが、昭和42年よりデラウェア専門の農園となりました。その理由は、「種なし」の技術が定着して消費が進んだことと、流通事情が良くなり全国に出荷できるようになったことがあります。現在、羽曳野市のデラウェアは、日本国内だけでなく台湾にも出荷されています。

自家製の完熟堆肥で健康な土づくり

冬は暖房機で全体に暖かい風を送ります

 デラウェアの生産は、1年がかりで行われます。収穫が終わった9月から、土づくりが始まります。畑のPHや養分など土壌の分析を行い、使用する肥料を選定します。なかむら農園さんは専用の堆肥工場で年間約300トンの完熟堆肥を生産しています。剪定したデラウェアのツルなどに米ぬかを混ぜ込み、約2年間発酵させて植物性の堆肥を作ります。この堆肥を畑に使用することで、ミミズや有用微生物がたくさん生きている健康な土ができ上がるのです。

毎日、ハウス内の気温を管理しています

 11月中旬から翌年2月までは、実のつきを良くするためにツルを剪定していきます。また、約1年間使用したビニールを片付けて、数ヶ月間は太陽光や夜風に当てます。そしてすべてのハウスに新しいビニールをかけ直して温度の管理をし、発芽をうながします。ハウスの中には暖房機を設置していますが、ビニールハウスの中が暑くなりすぎると花が枯れてしまうので、朝にビニールを開け、夕方に閉めるという作業をすべて人の手でおこなっています。昨年秋から冬は暖かい日が続いたため、温度管理には相当気を配られたそうです。

種なしにするため、一房ずつ溶液に漬けます

 花芽が出てくる2月中旬から第一回目のジベレリン処理、そして春にもう一度処理を施します。この処理により「種なし」のデラウェアができあがります。コップに入れたジベレリン溶液を持ち上げて、ツルについた小さなデラウェアを1房ずつ浸していきます。つけ漏れを防ぐために、溶液は食紅で着色してあります。この時期が早すぎると結実せず、遅すぎると完全な種なしにはなりません。それぞれ成長の異なるつぼみの房を見極めるのは、さすがプロの技です。そして実を大きく成長させるため、春にもう一度処理を施します。

 温度管理が要らなくなる初夏からビニールを外しますが、梅雨時期に収穫するデラウェアには雨よけのため一房ずつ袋状のカサをかけていきます。収穫は、その年の気候により異なりますが、5月第2週目から9月上旬。収穫時期が長いのは、畑ごとに厳密な温度管理をして収穫時期をずらしているからです。農薬は、残留期間が短いものをできる限り減らして使用しているので、収穫したデラウェアを分析してみても限りなくゼロに近い数値しか検出されないそうです。

毎年約1000本の新しい苗に植え替えています

 広いデラウェア園に広がる花や実ひとつひとつに手をかけるのは、時間的にも体力的にも大変な作業です。なかむら農園さんでは、仲村さん、奥さまの晴瑠美さん、次男の正也さん、そして約45名のパートさんがともに協力し合い、1年間ほぼ毎日作業しています。苗木から収穫に至るまでは約5年、そして次の一房ができるまでは1年もかかります。たくさんの愛情とストーリーが詰まったデラウェアを、ぜひ味わってみてくださいね。

選び方と洗い方

 5月は粒が小さく、酸味が少し感じられます。6月頃からは粒が「立って」きて、甘さが乗ってきます。酸味と甘みのバランスが取れてくるのは7月~8月です。いろんな季節のデラウェアを食べてみると、味の変化に気づくのではないでしょうか。

 購入後はさっと洗うだけで十分です。実が水をはじくのは、実から自然に出てくるロウ物質・ブルーム(果粉)の性質です。

作り手からのメッセージ

なかむら農園 仲村 知也さん、晴瑠美さん

 新鮮な状態でお手もとに届くよう、収穫したその日のうちに、未熟な実などを取り除く「トリミング」という作業からパック詰め、点検、5℃の冷蔵庫に保存まで行い、次の日には冷蔵車で出荷しています。完熟の状態で出荷していますので、購入後は、なるべく早めにお召し上がりくださいね。  みんなで力を合わせ、愛情をたっぷりと込めたデラウェア。今年も、甘くておいしいデラウェアを組合員の皆さまにお届けいたします。