噛むほどに甘みと香りが増す新米を楽しめる季節。「地産地消」「産地とのつながり」、そして「自然環境」を大切にしているコープしがの産直米は、安心して食べられる上、冷めてもおいしいと好評です。
今回は、厳しい栽培基準から生み出されるおいしさの秘密や生産者さんのこだわりなどを、JAグリーン近江五個荘支店の日根野信男さんに伺いました。
コープしがの産直米は、滋賀県内の5つの農協(JA湖東、JAこうか、JAグリーン近江、JA滋賀蒲生町、JA東びわこ)と提携し、契約栽培されたお米です。農薬と化学肥料を通常の5割以下に減らし、琵琶湖の保全や自然環境に配慮した栽培方法で作られた「環境こだわり農産物」です。
認定農業者のひとつで、環境こだわり米栽培に力を入れている「川並きぬがさファーム」(東近江市)では、コシヒカリ、キヌヒカリ、秋の詩、みずかがみなどの品種を栽培。生産者の塚本和弘さんによると、水稲の種子を病気から守るための温湯消毒や、畦畔の人手除草など、手間ひまをかけて、なるべく農薬や除草剤を使わずに、環境にも人にもやさしい米づくりに取り組んでいるといいます。
また、コープしがでは、毎年県内の各JAと共同で産地での田植えと稲刈り体験を実施し、生産者の顔がみえる関係を大切にしています。組合員と生産者が意見交換することで相互理解を深め、組合員は自分の目で確かめることで“食の安心”を実感することができます。また、生産者の中には、「毎年参加する子どもたちの成長を楽しみにしている」という人もあり、貴重な交流の場として今後も続けていきたいと考えています。
「環境こだわり農産物」は平成15年3月に滋賀県が制定した認証制度で、「滋賀県環境こだわり農業推進条例」に基づくガイドラインで栽培された農産物です。京阪神地区1450万人の飲み水となる琵琶湖を抱える滋賀県では、通常栽培の基準が全国と比べて厳しく設定されており、それよりさらに厳しい基準で栽培しているため、より安心でおいしいお米ができるのです。
5月初旬から中旬にかけて行う田植えに備えて、田んぼに水を引き込み、土地を平らにならすのが「代かき」作業。濁水発生を極力抑え、濁った水を川に流さないように、浅水代かきを実施しています。
田植え約1ヶ月後には生育に応じて約2週間の中干しを行い、土中の有害ガスを抜き、過剰な分蘖(ぶんげつ=稲の根に近い節から新芽が出て枝分かれすること)を抑えることでより高品質な米になるといいます。
また、川並きぬがさファームでは昨年から色彩選別機を導入。収穫した米に交じっている、ふるいなどによる選別では除去しにくかった糠のかたまりや変色したものなどを取り除くことが可能になりました。
こうして、味も見た目も一級品のお米が私たちの食卓に並ぶのです。
炊きあがりが白く、光沢があり、ほどよい粘りと甘みが人気の「みずかがみ」。滋賀県農業技術振興センターが昨今の環境の変化や温暖化に対応するために10余年の歳月をかけて開発を手がけて誕生した、滋賀県生まれの新品種です。高温に強く、猛暑の年でも品質が安定しているのが特徴で、今年の新米の評価は上々です。
豊かな琵琶湖の水を連想させる「みずかがみ」の名称は、公募で決まりました。パッケージは水をイメージさせるブルーを基調とし、白やピンク、緑といった小花は“笑顔が飛び交う健やかで明るい食卓”を表しており、この統一パッケージで販売されるものは、すべて「環境こだわり農産物」の認証を受けています。
冷めてもおいしいお米なので、おにぎりやお弁当などでもお米本来のおいしさをしっかりと味わうことができるのが魅力。育ち盛りの子どもたちもたくさん食べられそうですね。
パールライス滋賀の工場
米は、野洲市にあるパールライス滋賀の精米工場で精米されます。何重もの選別工程や金属探知機などを通り、最終の品質点検に合格した高品質の米だけが出荷されます。
普通精米からさらに肌糖を取り除いた「無洗米」は、生協向けでは約67%となっており、一般流通に比べて高い割合になっています。
今まで家庭でとぎ洗いして取っていた肌糠を、あらかじめ工場で取り除いたお米のことで、「洗わなくていいお米」です。とぎ洗いの必要がないため、水溶性ビタミンが流出せず、普通精米と比べ栄養価が高いといわれています。また、無洗米の加工時も家庭でも水を使う必要がないので、節水と水を汚さないことに役立っています。
しかも、同じ5㎏のお米を買っても、無洗米は肌糠が無い分約3%お得です。