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飼料米で循環型農業をめざす 産直鳥取こめ育ち牛

飼料米で循環型農業をめざす 産直鳥取こめ育ち牛

鳥取こめ育ち牛は、7月から「産直」商品として組合員さんにお届けしています。滋賀県は近江牛の産地なのにどうして鳥取県の牛肉が産直になるの? と疑問に思われるかもしれません。そんな組合員さんの疑問に応えるため、生産者の鳥取県畜産農協を訪ねて「鳥取こめ育ち牛」について聞いてきました。

鳥取県畜産農協とは

「鳥取こめ育ち牛」のココがいいね!

  • 酪農( 乳牛)と牛肉生産の連携
  • エサは地元産の飼料米です
  • 衛生的な食肉処理

 鳥取県は牛肉の産地としてあまり有名ではありませんが、全国のブランド牛の源流となった種牛「気高(けだか)」号は鳥取県産。昔から肉牛の飼育に取り組まれている土地柄でした。

 鳥取県畜産農協「とりちく」は、1980年に酪農家を組合員とした専門農協として設立され、その後食肉の生産、加工、販売も行うようになりました。京都生協とは以前より産直取引が行われており、コープしがも鳥取県フェアなどで商品を取り扱い、産直ミニ懇談会などで交流を行ってきました。

肉牛の生産について

鳥取県畜産農協 鎌谷組合長

 肉牛には、大きく分けて近江牛などの「和牛」、乳牛に和牛をかけた「F1牛(交雑種)」、乳牛の雄牛を去勢して肥育した「ホルスタイン肉牛」がありますが、鳥取こめ育ち牛はホルスタイン肉牛となります。鳥取こめ育ち牛は、生協牛乳120でおなじみの大山乳業の酪農家の乳牛から生まれた雄子牛を肥育しており、不足する子牛を一部北海道から導入しています。

鳥取こめ育ち牛の飼育方法

飼料米の田植えの様子

米を配合した飼料がペレットに入っています

緑に囲まれ、広々とした直営の美歎牧場

 鳥取こめ育ち牛はどんな餌を食べて育っているのでしょうか? 牛には牧草(粗飼料)と穀物などの濃厚飼料を与えて育てています。特に濃厚飼料の原料穀物はほとんどを輸入に頼っており、牛乳や肉は国内で生産されていても、海外依存度が高いのが現実です。これを少しでも国産の飼料を増やそういう取り組みが「こめ育ち牛」なのです。

 地域には減反政策や農家の高齢化などで耕作されない田んぼなど(耕作放棄地)が目立ってきていますが、「とりちく」では、ここで飼料用の米(品種は主に日本晴)をつくっています。収穫した米(玄米)を飼料工場で10%配合し、他の穀物などと一緒にペレット状のエサに加工して肉牛に与えています。米はトウモロコシなどの穀物と置き換えているので、肉質には基本的に影響しません。

 「とりちく」で必要な飼料米は鳥取県だけでは不足するため、滋賀県高島市産の飼料米が4分の1使われており、肉となって滋賀県の組合員のもとに返ってきています。

 また、飼料稲も栽培されていますが、これは食用品種とは違い背丈が大きくなり、藁ごと収穫して粗飼料として与えています。

 牛の堆肥は田んぼに還元され、飼料米・飼料稲の肥料となりまた牛の餌となる循環型農業となっています。

直営の美歎(みたに)牧場で肥育しています

出荷を控えたこめ育ち牛たち

 「とりちく」でも農家は減少しており、直営の(株) 美歎(みたに)牧場で肉牛の肥育を行っています。大山乳業で生まれた子牛は、6カ月くらい育成牧場で丈夫なカラダに育ててから、肥育農家や美歎牧場で約20カ月まで飼われ、出荷されます。肉牛として出荷するには、飼料米を10%配合した餌(濃厚飼料)をたくさん与えて太らせますが、本来の牛の餌(牧草)と違うため病気になる危険があります。「とりちく」では、そのような中でもできるだけ健康に育つように、気配りした飼育に心がけています。

衛生的な食肉加工

鳥取県畜産農協 事務所と食肉加工場

 出荷された肉牛は屠場から懸垂車という枝肉専用運搬車で衛生的に「とりちく」の食肉加工場に3日目に届きます。食肉加工場は食品安全マネジメントシステム(ISO22000)の認証を受けた安全管理の行き届いた工場です。ここで枝肉から部位ごとの肉に分けて真空包装され、コープしがに向けて出荷されます。出荷された牛肉はシガフードプロダクツで、用途に合わせてスライス加工・パック詰めされ、組合員さんのもとに届きます。

 鳥取県畜産農協との産直は、大山乳業の牛乳生産と、牛肉の生産と地域農業を守る取り組みが一体となった大きな意味を持つものとなっています。

組合員さんへのメッセージ

美歎牧場 小島弘也さん

一番こだわっている飼料用の稲、お米はとてもおいしいようで、牛も喜んで食べ、発育にも良い影響が出ているようです。脂身は少なくても味わいのあるやわらかい赤身肉です。是非、おいしいお肉を食べて明日への活力にして頂きたいと思います。