甘味と酸味のバランスが良く人気の「有田みかん」。日本で生まれた「温州みかん」という品種で、有田地方で生産されたものを言います。種がなく、皮も袋も薄いので、食べやすいのが特徴。生産するのは「有田コープファーム」です。コープしがが誕生した時から産直の産地として取り引きがあります。
ちなみに読み方は「有田(ありだ)」です。みなさま、ご存知でした?
先人が切り開いた、山の斜面のみかん畑。太陽の光をたくさん受けておいしいみかんが作られます
「有田コープファーム」があるのは、和歌山県の中部に位置する有田川町。高野山を源流にする有田川が流れ、町のいたるところにみかん畑が広がります。みかんの生産量日本一を誇る和歌山県の生産量の、5割以上が有田みかん。太平洋に面した温かな気候は、みかんづくりに最適です。
有田みかんの栽培の歴史は日本で最も古く、およそ450年もあります。産直有田みかんを生産する「有田コープファーム」は、生産者を組合員として協同する農事組合法人。生協と同じ協同組合です。
「これからは、安全性や生産方法を明確にする時代になる。安全安心でおいしいみかんを消費者に直接届けたい」と、京都や大阪の生協の協力を得て、1970年代に産直組織を立ち上げ、今に至ります。
取引は、8割以上が生協です。「地域の生産者から“生協さん”と呼ばれることもあります(笑)」と有田コープファームの井畑事務局長。
産地見学会の様子。おいしいみかんがたくさん採れました!
生協が大事にしていることのひとつが、「産直」です。意味は、「産地直送」――ではありません。
生協の「産直」は、「産地直結」という意味です。誰がどこでどのように生産したかが、はっきりしているのはもちろん、産地との交流を通して、つくる人とたべる人の思いをつなげる取り組みです。
井畑事務局長は、「生産者にとって一番嬉しいのは、産地や学習会での組合員さんとの交流。“おいしい”の声を直接聞くことができるのは、生協ならでは。苦労が報われます」と語られました。1年間に受け入れる組合員は700名を越えるそうです。
「安全安心はもちろんのこと、おいしいみかんを食べて欲しい」と、暑さの厳しい8月に、摘果作業(間引き)をされます。栄養がいきわたり、太陽の光をたくさん浴びたおいしいみかんづくりのためにかかせない作業です。また、虫や病気が出やすいのもこの時期。急斜面も多く広大なみかん畑ですが、丁寧に確認することはかかせません。一年で一番大変な作業ですが、この作業がみかんのおいしさを作っています。
取材当日も生産者が土壌を検査する段取りをされていました。土壌の成分を分析し、生産に最適な状態にするためです。土の材料は、有機肥料が中心です。
「組合員さんは、安全安心を求めて生協に加入されます。それに応えるために、エコファーマーの認定取得や生産工程の管理など、安全安心の裏づけをしっかり行って、自信をもって出荷してます」。
エコファーマーは、県が環境にやさしい農業を推進する農業者を認定するものです。認定されるためには、堆肥などによる土作りや、化学農薬を減らした栽培が求められます。有田コープファームの生産者は、新しく加わった生産者を除いて全員が認定されています。また、農薬散布は地域で一般的に栽培に使用される量の3割減で実施されています。「毎日みかん畑を見て回り、みかんの状態をチェックし、早めに対策をとることで農薬を減らせます」。
農薬の管理はとても厳しく、有田コープファームの事務局が生産者宅へ出向き、管理状況などのチェックも行います。また、農薬は出荷から逆算して使用できる日数が決まっています。防腐剤に関しては、その日数が1日前とされていますが、有田コープファームのみかんには使用していません。「市場では、流通過程でみかんが傷むリスクを減らすため防腐剤をかけないと引き取ってもらえないこともあるそうです」。もちろん、みかんをむいた手を洗わず食べても、乾かした皮をお風呂に入れても大丈夫ですよ。
温州みかんの中でも収穫時期が早い品種。一番おいしい時期が完熟前なのです。皮もやわらかく、酸味が強めでさわやかな味。この時期だけの早生みかん、ぜひご賞味ください。
みかんは寒さには強いので、風通しの良い涼しい場所で保管ください。野菜室でもOKです。
傷むとそこからカビが生え、ほかのみかんにも伝染してしまうので、箱で届いたときには、風を通し、痛んだみかんがないか確認するため、ひっくり返してチェックしてくださいね。