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つくる人、たべる人
CO・OP 糸もずく

CO・OP 糸もずく

のど越し爽やかでツルッとおいしいもずく。今回は、小分けパックで食べやすく種類も豊富にそろえる株式会社井ゲタ竹内さんをレポートします。

自然のままのおいしさにこだわって62年

 水木しげるロードで有名な鳥取県境港市にある「(株)井ゲタ竹内」は、1971年日本で初めて味付けのパックもずくを開発した会社です。創業者は戦後、添加物が当たり前の時代に「子どもや孫に安心して食べさせることができる食品を作りたい」との想いから創業されました。

 現在は味付けもずくをはじめ、淡塩さばなど水産加工品を作る会社ですが、創業当時は佃煮を作っておられました。見た目の良さよりも食品本来の自然なおいしさを追求した佃煮は、ほかと比べると地味な仕上がりでした。着色料を使わないえび豆のえびの色は真っ黒で、当時の消費者に商品の良さを知ってもらうには、相当の苦労があったそうです。

 それでも、自然のおいしさ、安全にこだわりながら着実に進んでこられました。創業して62年。今でも変わらぬ創業者の想いが息づいている会社です。

海の幸「もずく」って?

 「もずく」は海中に生える藻類(そうるい)、“海藻(かいそう)”です。その中でも褐藻(かっそう)という種類になります。太陽の光がぎりぎり届く水深3~5メートルのところで養殖される、ヒジキやコンブと同じ仲間です。ほかの海藻について育つことから「藻に付く」→「もずく」が語源といわれています。

 カルシウムが豊富な上、お酢はカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、もずくを酢の物で食べる食文化は、まさに先人たちの知恵といえます。また、食物繊維が豊富であり、その中でもフコイダンは胃の粘膜と同じような構造をもち、弱った胃の運動を回復させて消化を助ける効果も確認されています。お酒を飲む前にちょっともずく…なんていうのもよいかも知れませんね。

もずくの種類

 もずくには大きく分けて、「太もずく」と「糸もずく」があります。井ゲタ竹内キーパースン山石さんに違いを教えていただきました。

 「同じように見えますが、実はレタスとキャベツくらい違います」と山石さん。「一般的に“もずく”といえば、太もずく(ナガマツモ科オキナワモズク)を指すことが多く、コリコリとした食感が特徴です。

 糸もずく(モズク科モズク)は太さが太もずくの1/3程度でぬめりが多くツルツルした食感です。糸もずくは沖縄県内でも生産量が少ない希少なもずくです。どちらがお好みか、一度食べ比べてみてください」。

井ゲタ竹内と生協とのつながり

 生協と井ゲタ竹内とのつながりは、1970年代に淡塩さばや、さばみりん漬けの取り扱いからスタートしました。コープしがとは20年前の合併以前からのお付き合いです。今では一般に見かけることも多くなったカップ入りの「味付けもずく」ですが、かつては産地に近いごく一部の地域のみしか食べられていませんでした。それを生協がはじめて取り扱い、その後、一般の市場で広がりました。コープ商品第1号は、「コープ味付け隠岐もずく」です。

井ゲタ竹内と恩納村漁協

 現在、もずくの生産は、90パーセント以上が沖縄です。その中でも、仕入原料の中心である沖縄県の恩納村漁協は若くてチャレンジ精神が旺盛な漁協です。もずく養殖事業を最初に成功させたのもここです。

 「生産者へは、商品クレームなど、悪い情報はすぐに伝わりますが、良い情報はなかなか伝わりません。何が良いかわからないと、より良い原料は作れません。そのため、産地へと足を運び、信頼関係を築いています。産地では生産者ごとに品質を管理し、評価をしています。そのデータが翌年の改善に活かされています。客観的に品質を見ることができるおかげで、生産者の仕事への誇りとやる気に繋がっています」。

 メーカーである井ゲタ竹内は“取引ではなく、取り組み”という関係を作り上げています。

素材へのこだわり《もずくの生産方法》

偶然からたどり着いた養殖方法でおいしいもずくが育ちます

 最初は隠岐島(おきのしま)の天然もずくを採っていましたが、海の環境が変化し、デリケートなもずくは減少してしまいました。そこで、沖縄で生態を研究し、再現して事業的に生産可能になったのが、1977年5月です。

 養殖の成功は、なかなかうまくいきませんでした。試行錯誤していく中で1つの養殖網がたまたま切れ、海底に接触しました。すると、その網のもずくだけが、芽を出しました。この偶然のハプニングが今の養殖方法の基礎となっています。

素材へのこだわり《栽培から加工まで》

もずくの加工は、次のような流れで組合員の手元まで届けられます。

①もずく栽培 ⇒ ②輸送 ⇒ ③検品・入荷・保管 ⇒ ④洗浄・選別 ⇒ ⑤殺菌・調味 ⇒ ⑥包装・検品・ケース詰め ⇒ ⑦検査・出荷 ⇒ ⑧組合員の手元へ

人の目と手でていねいに選別

 その中で、特に驚いたのは④洗浄・選別の工程。自然の海での養殖のため、原料には違う種類の海藻や、小さなエビ、養殖ネットの素材などが混じっています。それをコップ1杯分くらいの量に取って専用の選別台に広げ、丁寧に人の目と手の感触で選別されています。見ているだけでも肩が凝りそうな、とても手間のかかる作業です。

 選別で発見された異物は、ロットごとに整理・分析し、結果を産地に伝えます。こういった取り組みも異物混入防止対策に役立てられています。

「井ゲタ竹内のもずく」がすっぱくない秘密

 井ゲタ竹内は味付けもずく(もずく酢)工場において、HACCP()の認定をとっています。鮮度管理、衛生管理に徹底的にこだわっているため、添加物の殺菌効果で日持ちをさせる必要がありません。だから味を濃くする必要がなく、家庭で作るようなシンプルな調味料だけで味付けすることができます。「もずくは酸味がきついから苦手!」という方はぜひ一度、井ゲタ竹内のもずくを食べてみてください。

HACCP…食品原料の受け入れから製造~出荷までのすべての工程において、危害の発生を防止するための重要ポイントを、継続的に監視・記録する衛生管理の手法

サンゴ礁再生事業について

 もずくの産地である、沖縄県恩納村漁協では『サンゴ礁の海を育む』活動をされています。沖縄はサンゴの宝庫ですが、昨今の地球温暖化による海水温上昇で、サンゴが死ぬ「白化現象」が発生し、サンゴを棲家にする生き物や珊瑚を食べる生き物にとって危機的な状況になっています。サンゴを植え付け、養殖することで沖縄の海、日本の海を育む大切な役割を担っています。井ゲタ竹内は、恩納村のサンゴの再生を応援しています。

組合員さんへのメッセージ

井ゲタ竹内キーパースン・山石さん

 私たちメーカーは、常により良い商品を目指して、日々取り組んでいます。その中のひとつとして、恩納村漁協のサンゴ礁の海を育む活動を応援しています。

 海が育まれると生産者はより良いもずくを生産でき、次世代の後継者も生まれます。そして、より良い商品へとつながります。この「協同の輪」を大切にしながら、これからも熱意をもって商品づくりに取り組みます。

真心込めて作った恩納村のもずく、ぜひ食べてください。