今回は、いろんな種類のきのこを組合員に届けている、株式会社ハーツできのこの話を聞きました。
しめじ、エノキ、エリンギ、まいたけ―風味豊かで、ほかの素材を引き立ててくれるきのこは世界中で親しまれている、まさに食卓の名わき役。きのこの種類それぞれに異なる食感、味わいで楽しませてくれます。そんなきのこを組合員の元へ届けてくれるのが、長野県中野市にある株式会社ハーツ。今回は、同社で取り扱っているきのこについて、また、生協とのつながりについて、社長の越 裕之さんに教えていただきました。
(株)ハーツのある中野市は、長野県の北東部に位置し、長野オリンピックの開催地でもあった長野市からは、電車で30分ほどのところにあります。農業が盛んで、リンゴやブドウの栽培では、全国でも有数の品質と生産量を誇っています。そして、早くからエノキダケの栽培に取り組み、キノコや果実・野菜・花キの栽培の先進地としても知られているそうです。
昭和60年代、越社長がまだ20代前半の頃、当時きのこ栽培をしていたのは越社長の義父だったそうです。当時社長は会社員で、仕事の休みの繁忙期には手伝いながら、「きのこ」について学んでいたそうです。会社を継ぐことになったのは20代半ば。それから本格的に「きのこ」の栽培の道に入り、平成5年に、(株)ハーツが生まれました。
15年前当時のカタログから。2連パックのえのきが登場
モットーは、「常に自然から学ぶ姿を忘れず、農作物の栽培・販売を通して、環境に調和し、単に利益だけの追求でなく、社会に貢献できる企業」。
そんな㈱ハーツとコープしがの出会いは今から15年ほど前になります。組合員から「大袋のえのきは1回で使いきれないので、半分の量がほしい」との要望がありました。
今も小売店に並んでいるえのきは、袋に入れて寝かせて陳列をしていますが、当時(株)ハーツでは、立てて陳列するための容器の開発をしており、「えのきを半分の量に」という組合員の要望も加えてもらいました。
えのきは成長を続けるため、“息”ができる構造であることは、容器の必須条件。そこで空間があって成長を妨げない容器の2連パックが登場しました(容器代金にコストがかかり組合員価格が高く、現在は廃番)。
その後、「いろんなきのこを1パックずつ買っても、少人数の家族だから使い切れない」との声から、数種類のきのこが1つになった「きのこセット」が誕生しました。過去には、きのこセットに調味料を加えた「パスタセット」や「炊き込みご飯セット」なども開発されたのですが、各家庭で味付けする方が増え、現在は少量のきのこ3~5種類をセットした「きのこセット」を企画しています。
おかこ(きのこの培地)に、米ぬか・コーンコブ・豆皮などを混ぜ、空ビンに詰める。
詰め込みが終わったビンを釜の中にいれ、98℃で約10時間蒸し、ビン内を殺菌。
殺菌の終わったビンに、ぶなしめじの菌を植え付ける。
※カビなどの雑菌が入らないよう一番神経を使うそうです。
菌が植え付けられたビンは、約90日じっくりと寝かす。
培養が終わったビンのふちについた菌をかき、ぶなしめじがきれいな株を形成するようにする。
生育は湿度が100%に近い部屋で行われる。
菌を植え付けてから約120日で収穫。
複数の生産者で作られています
きのこは、種類それぞれの成長する温度帯が異なるため、一人の生産者で1種類のきのこを作っています。ほとんどのきのこは14~16℃、えのきは3~5℃が成長する温度帯。だから、「きのこセット」に入っているえのきは小袋に入れ、温度の刺激を抑えています。
クセのない味でどんな料理にも合う
歯ごたえがしっかりしている
◎おいしいえのきを選ぶなら…かさの粒がそろっていてきれいな乳白色で軸がしっかりとしているものを。
★石づきの茶色い部分(約3cm)を切り落とし、ほぐして使います。
【栄養】(100g中)エネルギー22kcal、カリウム340mg、葉酸75μg、食物繊維3.9g、ビタミンB1 0.24mg、ビタミンB2 0.17mg
独特のぬめりでのどごしが良い
食物繊維がたっぷり
◎おいしいなめこを選ぶなら…かさが割れていないもの。パックのものは、水が混濁していないもの
★なめこのぬめり成分は、粘性多糖体と言い、食物繊維たっぷりの成分。ざるに入れ、熱湯をさっとかけて、水気を切ってから料理に使います。
【栄養】(100g中)エネルギー15kcal、カリウム230mg、葉酸58μg、食物繊維3.3g、ビタミンB1 0.07mg、ビタミンB2 0.12mg
軸のボリューム満点!
歯ごたえがしっかりしている
◎おいしいえりんぎを選ぶなら…かさの下のヒダがくっきりしていて、かさが開き過ぎていないもの。軸が太くしっかり弾力のあるもの。色は薄茶色がベスト。
★ヨーロッパ生まれのきのこ。切り方によってアレンジが楽しめます。
【栄養】(100g中)エネルギー24kcal、カリウム460mg、葉酸80μg、食物繊維4.3g、ビタミンB1 0.14mg、ビタミンB2 0.28mg
風味が抜群
歯ごたえがしっかりしている
◎おいしいまいたけを選ぶなら…かさが密集していて、パリッと新鮮なもの
★タンパク質分解酵素を多く含むので、みじん切りにして肉と一緒に調理すると、肉が柔らかくなる。反対に、生のまいたけを茶碗蒸しに入れると固まらなくなるので注意。
【栄養】(100g中)エネルギー16kcal、カリウム330mg、葉酸60μg、食物繊維2.7g、ビタミンB1 0.25mg、ビタミンB2 0.49mg
うま味たっぷり!
香りが抜群に良い&食感も良い
◎おいしいぶなしめじを選ぶなら…かさの色が白っぽくない茶色で開き過ぎていないもの。軸がしっかりとして弾力がある。
★石づきは2cmほど切り落とし、手でほぐして料理します。野菜室ではなく、冷蔵庫で保存。
【栄養】(100g中)エネルギー18kcal、カリウム380mg、葉酸28μg、食物繊維3.7g、ビタミンB1 0.16mg、ビタミンB2 0.16mg
洗うと、きのこのうま味・香りが逃げてしまいます。ふきんやペーパータオルで軽くふく程度で大丈夫です。
料理の1時間前に冷蔵庫から出し、袋を開けてきのこを常温にしてから使いましょう。料理のおいしさがさらにUPします。
石づきを2cmほど切り落とし、手でほぐして料理に使いましょう。
きのこのうま味酵素は60~70℃の温度帯で急増。加熱する場合は水から調理すると、うま味が増します。
野菜室は温度が高いので不向きです。
石づきを切り、ほぐしてから小分けにして冷凍庫へ入れましょう。この冷凍したきのこを料理に使う時は、解凍せず、そのまま炒めたり、煮物に使ってください。