九重味噌 白みそ(手作り)
滋賀県産のお米と大豆を主に使用。伝統製法から醸し出される米麹の自然な甘みが特徴です。
12月1回から12月最終回で限定月間特売(税込419円)「コープしがマルシェ」をご覧ください。
今年も残すところ数週間。新年の足音がいよいよ近づいてきましたね。
お正月の食卓に欠かせないお雑煮は、「ふるさとの数だけ味がある」といわれる通り、滋賀県内でもすましやみそ仕立てなど種類は様々。中でも、白みそ仕立てに丸餅を浮かべた関西風のご家庭が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、大津市で150余年の歴史を誇る有限会社九重味噌の「白みそ」をご紹介します。
ビルや商店が建ち並ぶ浜大津の一角。昔ながらの量り売りを今なお続ける九重味噌は、明治元年に創業しました。
「初代は当初、米屋を始めたそうですが、みその原料に米(米麹)を使うということもあり、いつしかみそを造るようになりました」と話すのは、5代目の九重彰寛さん。
現代のみそ造りは機械化の加速により、人の手がどんどん離れているのが実情です。しかし、九重味噌は創業以来、一貫した手造り。そのあかしが、「麹蓋を使った米麹づくり」です。
「みその命である米麹を造るのに、麹蓋とよばれる小型の木箱を使います。洗って、蒸して、麹菌をまぶしたお米を室という発酵室へ運び込み、温度を一定に保った床で麹菌を育てます。そこからいよいよ麹蓋の出番です」
もちろん、お米に麹菌をまぶしただけでは米麹になりません。床とよばれる大きな水槽で、蒸したお米と麹菌を均一に混ぜ合わせ、新鮮な空気を送って菌の成長を促します。そこからお米を150枚にも及ぶ麹蓋へと小分けにし、約3時間ごとに置き場所を入れ替えて、温度や湿度が同じ条件になるように調整します。ちなみに麹蓋を使うのは、麹菌の成長を少量ずつ人の目で見届けるのが目的です。
「お米を盛った麹蓋の重さは約3㎏。それを3時間ごとに150枚分動かしますから、だんだん体力が削られます。しかも、麹菌が放出する熱と蒸気で部屋の湿度は90%。汗をかいても冷えない状況は……、やっぱりちょっとしんどいですね(笑)」
一方、大豆は国産であるのはもちろん、なるべく滋賀県産を使用。薄皮を取って、洗って、12時間以上水に浸け、煮汁を4度交換しながら鮮やかなクリーム色になるまで茹で上げます。
「最も神経を遣うのが、米麹と煮豆を混ぜて熟成し、すり潰す作業です。私たちは『すり』とよびますが、普通のみそがミンチの粗さだとしたら、白みそは石臼できめ細かくすり潰すイメージ。白みそを甘くする麹菌の酵素を殺さず、70~80度の適温ですり潰すのが難しい。機械が勝手にやってくれるワケではないですからね」
こうして職人が手塩にかけた白みそは、発酵を止める酒精(アルコール)をほんのわずかに加える程度で着色料や調味料は使いません。そのため品質を保持するのが難しく、限られた取引先にしか卸すことができないそう。現在は九重味噌の店舗・オンラインショップ以外では、コープしがと近隣の小売店のみで販売しています。
また、九重味噌は屋号に“白みそ専門”を掲げていますが、その理由についても聞いてみました。
「実際は赤みそも造っていますが、うちは土地が狭いのでみそを寝かせるスペースがありません。天然醸造の赤みそは熟成に通常1年かかります。その点、白みそは仕込んで1週間で出荷できる。大きな機械も導入せず、長年手造りを続けてこられたのも、うちが白みそメインの小さなみそ屋だからです」
九重味噌の白みそは、12月1回から12月最終回で注文を受け付けています。
まろやかで甘みのある白みそは、関西を中心に和食だけでなく洋風メニューの隠し味としても使われています。大豆を発酵、熟成する過程でビタミン類やアミノ酸が加わり、腸内環境を整える効果が期待できます。乳酸菌や酵母は高温で加熱すると死滅してしまうので、火を止めてからみそを加えるのがおすすめです。
いちばんの違いは「材料の配合」です。白みそは大豆1に対して米麹が2、塩分濃度は5%前後とかなり低め。対して赤みそは米麹の比率を自由自在に変えられますが、塩分濃度は白みそよりも高めです。また、甘みが強く塩分濃度が低い白みそは熟成期間が短く、1週間程度で出荷できます。一方、塩分濃度が高い赤みそは熟成に時間がかかり、天然醸造だと完成までに約1年を要します。
お雑煮に使い切れなかった白みそは、普段のみそ汁に少し加えて隠し味に。ほんのり甘くまろやかになり、ひと味違うおいしさを楽しめます。また、大量に余った場合は、ぜひみそ漬けにチャレンジしてみてください!
2月号の「コープしがのレコメンド!」では、紀ノ川農協の「キウイフルーツ」を紹介します。
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