月1回の贅沢にぴったりのお手頃価格で、黒毛和牛のさまざまな部位を楽しめます(宅配は全6回の登録制)。
「牛肉はおいしいけれど高すぎる! もっとお手頃価格にならないの?」という組合員の切実な声に応えるべく、鳥取県畜産農業協同組合産直鳥取みんなのつながり和牛」です。
の力を借りて誕生したのが、「実をいえばこの和牛、畜産業界の未来を見据えて誕生した画期的な商品。構想が立ち上げられた2012年当時、畜産業界にはさまざまな問題が山積みになっていました。
たとえば、世界情勢の変化による飼料の高騰、労働負担の大きい畜産農家の後継者不足など、「このままでは組合員に安全・安心な牛乳と牛肉をお届けできなくなってしまう……」という危機感が漂っていました。
そこでコープしがでは、ホルスタインの雄を中心に、肉牛の肥育から加工、販売までを行う畜産専門農協のとりちくと話し合い、「まずは疲弊した酪農業を強化しよう」と、最新設備を導入した大規模酪農牧場の「(株)みんなの牧場」を設立しました。
今回の取材では、「生協牛乳120」や「産直鳥取みんなのつながり和牛」を普段から利用する組合員を対象とした「産直の牛乳とお肉のふるさとを訪ねる産地交流ツアー」に同行。70名以上の応募から当選した19名の組合員とともに、鳥取市国府町にあるみんなの牧場を訪ねました。
小高い山の大自然に包まれたみんなの牧場は、約600頭の搾乳牛を飼育するメガファーム。一度に50頭もの乳牛を1回転15分で搾乳できるロータリーパーラーや、牛が食べやすいように飼料をならす餌寄せロボット、床に落ちた糞をかき集めるバーンクリーナーなど、徹底した機械化・自動化により労働環境の改善をめざした最新設備が整っています。
そのかいあって、現在の従業員数は22名で平均年齢30歳前後。牧場を見学した組合員も、「こんなに若い人たちが働いているなんて!」と驚いた様子でした。
「みんなの牧場」の酪農経営が軌道に乗り始めた2019年、満を持してスタートしたのがお手頃価格で和牛を提供する「産直鳥取みんなのつながり和牛」の事業です。当たり前のことですが、生乳はホルスタインのお母さん牛が出産することで初めて出るようになるため、酪農牧場では定期的にお母さん牛を出産させる必要があります。そこで、ホルスタインのお母さん牛に黒毛和種の受精卵を移植して代理出産してもらうことで、和牛が和牛を産むよりも安価に仔牛を入手する、というのが「産直鳥取みんなのつながり和牛」の仕組みです。
こうして、「みんなの牧場」で産まれた和牛の仔牛は、生後1週間程度でとりちくの哺育育成センターへと運ばれます。抵抗力が弱く、少しのことで下痢をしやすい仔牛はきめ細やかな健康管理が必須。スタッフの手で愛情たっぷりに4ヵ月齢まで育てられ、その後はとりちくの三本杉牧場で、出荷を迎える26ヵ月齢まで大切に肥育されます。
哺育育成センターで潤んだ瞳のかわいい仔牛を見ていると、少し切ない気分にもなりますが、ひとりの組合員がスタッフの宮本さんに「やりがいは何ですか?」とたずねました。
「愛情を注いだ仔牛を見送るのは辛くないか? と聞かれることもありますが、僕が飼育環境を整えて、飼料の配合などを微調整することで、牛の大きな成長につながることは喜びです。野菜を育てる生産者さんなどと、同じような思いではないでしょうか。」
彼のように熱心な生産者たちによって実現できた「産直鳥取みんなのつながり和牛」ですが、そもそもは組合員による継続的な牛乳・牛肉の消費がなければ成り立たない事業です。牛乳と牛肉は生産現場でつながっている。私たちと生産者も産直でつながっている。みんながひとつになって支え合ってこそ、将来に渡って安全な牛肉を安価でおいしく食べることができるのです。
9月号のレコメンドでは「近江三方庵のおはぎ」を紹介します。利用しているみなさんの「推しポイント」を教えてください!