紙芯をなくすことで一般的なシングル60mの2倍以上の長さを実現。再生紙100%の地球にやさしいトイレットペーパーです。
利用すればするほど資源のムダ使いを減らし、ユニセフに募金もできる。まさに「おみごと!」な商品が、40年以上愛され続けるやわらかコアノンロールです。
“コアノン”とは文字通り、芯(=コア)のない(=ノン)トイレットペーパーのこと。1982年に灘神戸生協(現・コープこうべ)の組合員から、「業務用のように紙芯がなく、長く巻いた商品はできないの?」という声がありました。紙芯がなければ使い終わってもゴミが出ず、その分長く巻けるという発想です。そこで、1983年に日本生協連が商品化。全国の生協で取り扱いが始まりました。
「コアノンロールは再生紙を100%使っていますが、当時、リサイクルが難しかった牛乳パックの再利用も目的の一つでした。現在は全国7社の製紙会社でコアノンロールを作っています」と話すのは、大阪府で唯一のトイレットペーパーメーカーである株式会社リバースの五十棲義人さん。
そもそもコアノンロールは専用の芯棒を突き刺して使用する細穴タイプのみでしたが、1992年に一般的な家庭用ホルダーで使用できる太穴タイプの「ワンタッチコアノン」が発売になりました。同社ではコープきんきに所属する7つの生協の組合員に向け、この太穴タイプを製造しています。
「当社では原料となる古紙の約半分が企業から回収した機密書類。企業秘密や個人情報が記された機密書類の回収サービスも当社の重要な業務です。書類を束ねるバインダーやファイルなどのプラスチック、留め具やクリップなどの金属も分離して処理することができます」
2002年に創業したリバースは、再生紙業界ではまだまだ“新参者”ですが、現代社会に求められる環境配慮型の工場で地球にやさしいものづくりを創業当初からめざしています。その一つのコンセプトが“ゼロエミッション”。製造時に発生するゴミも自社で再利用する取り組みです。
「ゼロエミッションの最たるものが、サーマル(=熱の)リサイクルです。機密書類を束ねるバインダーやファイル、牛乳パックのラミネートはそもそも石油が原料のプラスチック。ダイオキシンが発生しないボイラーで燃やすことで、発生した熱をトイレットペーパーの製造に再利用しています」。
再生紙を使ったトイレットペーパーの製造工程は、大きく分けて「古紙から紙の繊維を取り出す」「紙を抄く」「加工する」の3つ。まずは古紙を破砕機で裁断し、パルパーとよばれる大きな釜で溶かします。
「温水の入った巨大なミキサーで切り刻むようなイメージですよ」と五十棲さん。 その後、半日ほど熟成させて紙の繊維をほどけやすくし、プラスチックや金属などの紙にならない異物を除去。さらに紙の繊維に含まれるインクやチリ、ほこりを除いてやっときれいな紙の繊維を取り出せます。
「その後は紙の繊維を薄く延ばして瞬時に乾かし巻き上げ、トイレットペーパーのもとになるジャンボロールを作るのです」。
ここからいよいよ加工ですが、コアノンロールの柔らかさはこの工程に秘密が。表面に凸凹をつけるエンボス加工で繊維を潰し、柔らかくしているのです。また、続く裁断工程にもさらなる秘密がありました。
「一般的なトイレットペーパーの紙幅は114㎜ですが、コアノンは105㎜。ほんの少し紙幅を狭くすることで資源の節約に貢献し、パッケージも小さくて済むのです」。
コアノンロールを製造する7社は品質会議を毎年開き「まだまだ改良の余地がある!」と切磋琢磨しています。一方、2010年には「コアノンスマイルスクールプロジェクト」がスタート。コアノンロールを1パック買うごとに1円がユニセフを通じてアンゴラ共和国に寄付されます。これからも進化を続けるコアノンロールに乞うご期待です。
「コアノンスマイルスクールプロジェクト」とは、コアノンロールを製造する全国7社が協議して、「トイレットペーパー以外の価値も生み出したい」と2010年11月よりスタートしたプロジェクトです。
当時、5歳未満児の死亡率が世界一高いといわれたアフリカ・アンゴラ共和国へ、1パックにつき1円がユニセフを通じて寄付されます。寄付されたお金は、「学校にトイレを作る」「水道を整備する」「先生への教育」など、子どもたちが楽しく学べる環境づくりに使われます。1パックにつきわずか1円ですが、昨年度は1年間で1500万円以上の寄付金が集まりました。あらためて組合員に支持されるコアノンロールの底力を感じます。