コープしが合併後の翌年(1994年)に、県内3つの生産者グループで立ち上げた物流拠点であり販売窓口。安全な滋賀県産野菜の安定供給をめざしています。
「やっぱり地元の野菜は新鮮だよね」「生産者との距離が近いって安心感がある」と、コープしがの組合員に根強いファンが多い滋賀県産の産直野菜。全国的には野菜の生産量が少ない滋賀県ですが、県内の農業者がお互いに協力し、地域で採れた野菜を安定的に供給しようと、1994年に設立されたのが株式会社滋賀有機ネットワークです。
「滋賀有機ネットワークは、株式会社リッチグリーン(旧栗東有機栽培グループ)、大中の湖産直連合、安土産直部会の3つの生産者グループで設立されました。社名に〝有機〟とあるように、当初から『食の安全』『健康のための農業』、さらには『環境保全型農業』をめざした組織だったのです」と、滋賀有機ネットワークの田井中年人さん。
有機栽培の基準を厳格に定めた有機JAS認証制度がスタートする以前の社名だったため、すべての農家が有機JAS認証を取得しているわけではありません。しかし、生産者によっては、農薬と化学肥料を通常の半分以下にした滋賀県の「環境こだわり農産物」の認証や、コープしが独自の基準で農薬と化学肥料を抑えた「コープ安心野菜」基準を満たしています。
「たとえばリッチグリーンでは、小松菜を中心にほうれん草や水菜、青ネギといった葉物野菜を育てています。たい肥や有機質肥料をふんだんに使うので畑への負担が少なく、年間を通じて収穫が可能です」。
農薬を半減したため、時にはひどい害虫被害を受けることもありますが、夏の高温を利用して畑を消毒するなど、人と自然にやさしい農業を心がけています。
「大中の湖産直連合ではミニトマトやトマト、ブロッコリーが中心です。ミニトマトは県の『環境こだわり農産物』認証を取得していますし、トマトは樹の上で完熟させて出荷する『一株トマト』として組合員に人気です。また、ブロッコリーは地元で育つ近江牛のたい肥を使って循環型農業に取り組んでいます」。
一方、安土産直部会では、地域にゆかりの戦国武将・織田信長の名前を冠した安土信長葱がメイン。軟白(白い部分)が25cm以上もある極太の白ネギで、糖度が高く、滋賀県内外ファンの多い逸品です。
現在、滋賀有機ネットワークに登録する生産農家は約60戸。「もっと仲間を増やしたい。」と、同社ではこれまで以上に滋賀県内の生産農家の獲得をめざしています。
「日本の農業は今や深刻な高齢化問題に直面し、滋賀でも生産農家は減少する一方です。しかし、県内を広く見渡せば、いろんな農産物が生産されています。県内JAなどにも声をかけ、コープしがで利用できる県内農産物を増やしていきたいと思います」。
ひいてはそれが生産農家の販路拡大につながり、地産地消を求める組合員の声に応えることになる。結果として、持続可能な農業を実現できると田井中さんは話します。
自然環境に負荷を掛けない生産はもちろん、販売ルートをきちんと確保して農家の経営を安定させるのも持続可能な農業には不可欠です。そこで生協と組合員の力でできるのは、生産農家を買い支えで継続的に応援すること。今日も明日も明後日も、新鮮な県産野菜が食卓に上るように、組合員自身が一番身近なファンになることが大切なのです。
グループ名 | 春 | 夏 | 秋 | 冬 |
リッチグリーン | 小松菜(通年) | |||
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青ネギ(通年) | ||||
水菜(通年) | ||||
大中の湖産直連合 | ミニトマト(8月を除く) | |||
一株トマト(5~7月) | ||||
ブロッコリー(11~2月) | ||||
安土産直部会 | 安土信長葱(11~2月) |
農産物の生産現場を取り巻く状況は年々厳しさを増しており、肥料・生産資材・エネルギー資源等の価格高騰や働き手の確保、さらには農地集積
など、課題は山積です。これらの問題は海外情勢の影響が大きく、今後は協同組合の活動がより一層大切になってきます。私たちも、安全安心な農産物の供給に邁進し、明るい未来をともにつくっていけるように努力してまいります。
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