三重県西部、奈良県寄りで雨や雪の少ない気候の安定した温暖な青蓮寺地区でダムを引いて国をあげて国営青蓮寺パイロット事業で昭和45年に巨峰20ha栽培から始まりました。結果的には当初開発予定300haの約半分150haになり、今や高齢化などで生産者が2軒になった所です。生協とは湖南生協時代に伊賀出荷組合4名で取引が始まり、今は上島農園さんだけで巨峰・伊賀乙女・シャインマスカット・クイニーナ等を納品しています。
圃場は水田を畑にした粘土質の80haハウスで、主に巨峰と伊賀乙女(安芸クイーン)を農薬は通常の半分で除草剤無しで栽培しています。葡萄は1枚の葉に通常1~2粒の実がなる為、夏場天井ネットのハウスに茂った葉陰ができます。獣害は鹿や猪よりも主にはアライグマで、ハウスの隙間から侵入して木蔓から葡萄の実を摘んで食べた後の巨峰の皮が捨てられています。
巨峰は種なしが求められるようになり、今年は全て種なしに挑戦。種なしの方が脱粒しやすい。天候が良いと甘くなるため、今年は特に良く、とても美味しいとの事。
巨峰の他にもシャインマスカットや伊賀乙女(安芸クイーン)などを栽培しており、今では親木がなく、日本一作りにくいと言われているオリンピアも作っておられます。
ぶどうの保存はラップに包んで冷蔵庫へ。冷凍して冬に食べてもおいしい。今年は種なしに挑戦し、食べやすくなっています。
種ありは軸と種がつながっていて実が落ちにくいが、種なしは皮だけでつながっているので脱粒しやすい。揺らさないよう、そっと扱ってください。
上島農園さんとコープしがとの関係は、湖南生協時代に遡る。記憶をたどって下さると、どうやら27年以上のお付き合いになるよう。ご夫婦お二人で交互に一所懸命お話して下さったのがとても印象的でした。出していただいた冷たい美味しいお茶は奥様の手作り。乾燥機を購入され、桑の葉や柿の葉など自ら収穫し、ブレンドしたお茶だそうで、ご主人の身体の事を気遣ってのことらしいです。私もまだまだ頑張って美味しい巨峰や伊賀乙女の生産をしていただきたいと心から思いました。
最近のぶどうのニーズは種なしが主流に。小さな子どもさんやご高齢の方にとっても安心して食べられるからだと思いますが、種なしを生産するために、生産者は一房一房をカップに入れたジベレリン水溶液に浸漬させるという、“ジベ処理”が必要となります。これは、全て手作業でしか出来ず、かなりの手間のかかる作業です。また多くの市場の物は袋がけの際に使う袋に、防虫剤が染み込ませてあるそうですが、生協への出荷のため上島農園では使用していません。その袋を、また一房一房にかけ、日よけの傘をつけ…という気の遠くなりそうな手間と愛情がかかった巨峰や伊賀乙女。ご夫婦二人での生産、収穫、出荷のため、あまり生産量は出来ないそうで、もしかすると今後は数量限定や抽選などになる可能性も出てくるかもしれませんが、是非是非、利用していただきたいです。