ここ30年で、スポーツに取り組む人口が増加しているのをご存知ですか? それは日本人の健康に対する意識が高まっているということでもあります。
スポーツをする上で欠かせないのが、十分な栄養摂取です。特に成長期の子どもたちの必要エネルギー量は、大人以上になる場合もあります。子どもたちが安全に最高のパフォーマンスを発揮するためには、炭水化物・タンパク質・脂質に加えて、ビタミン・ミネラルの5大栄養素を効率よく摂り、基礎体力を作ることが必要です。
炭水化物と脂質は主に体を動かすエネルギー源となり、タンパク質とミネラルは体の組織を作り、ビタミンとミネラルが体の調子を整えます。だから、筋肉増強を目指してタンパク質だけを摂ればよいのではなく、まずは1日3食ごとに、5大栄養素を摂るように意識してみましょう。
特に、充分な睡眠から体を目覚めさせる朝食は重要。朝食をしっかり食べると腸内環境が活性化し、体温を上げることで代謝も上がり、免疫力や集中力がアップします。また、朝食で良質なタンパク質を摂取することが、筋タンパク合成を最大化する効果が高いといわれています。
基礎体力がついたら、運動内容や運動のタイミングに合わせて、食事内容の調整を。例えば、強度(負荷やきつさ)が高い運動前は、消化・吸収が速く、エネルギー効率のよい炭水化物が不可欠。長時間運動の場合は、ゆっくりと燃焼してくれる脂質も組み合わせたバランスのよい食事で体を整え、合間に果物や飲み物などで炭水化物の補給に努めて下さい。
また夕方から運動する場合は、運動前におにぎりなどの炭水化物を摂り、運動後は頑張った筋肉回復のため、肉・魚・卵・大豆製品などの良質なタンパク質をメインに、ビタミンB群やビタミンC、そしてカルシウムや鉄分などのミネラル摂取を意識して。水分補給は大人以上に重要です。こまめな水分摂取を心がけてくださいね。
文:医療部管理栄養士 布施順子さん