滋賀産の飼料用米を食べて育った純国産鶏が生んだ「さくらたまご」は、ヘルシー、おいしい、安全・安心の大人気商品。コープしがの卵のなかで、最も多く利用されています。
今回は、さくらたまごの生産者で、養鶏農家有志によるグループ「50g会」の安田養鶏場の安田健次さんに、ヒナもエサも地産地消というこだわりと、養鶏への思いについてお聞きしました。
さくらたまごの母鶏は、純国産品種の「さくら」です。この品種は、国内で唯一、国産鶏種の育種改良に取り組んでいる岐阜県の株式会社 後藤孵卵場で誕生したもので、日本の気候にあうように育種され、「病気に強く」「味が良い」という特徴があります。
実は、日本の市場に流通している卵の国内自給率は96%ですが、卵を生産する鶏の94%は海外からの輸入に依存しており、国産鶏はわずか5%程度。さくらたまごは、大変希少価値の高い商品なのです。
おいしさの裏には、生産者の徹底した衛生・飼育管理があります。たとえば、安田養鶏場安土農場の場合は、間口7m・奥行き100mの鶏舎4棟に2万4000羽を飼育。セミウィンドウレス鶏舎で一年中快適に過ごせるよう鶏舎内の温度をコントロール。糞尿は風を送って乾燥させ、においを抑える工夫をしています。「コストはかかるけれど、衛生面を考慮して、また鶏にストレスがかからない空間を作っています」と安田さん。毎日、朝晩2回鶏舎を見まわり、健康状態をしっかりと管理しています。
安田養鶏場の様子
「50g会」とは、高度な養鶏技術の習得をめざす養鶏農家集団として、1972年に結成されました。養鶏農家にとって「平均して1羽から1日に50g以上の卵を産ませる」ことが目標であることから、この名がつきました。
50g会のこだわりは、何と言っても鶏に与える飼料です。一般的な養鶏農家では、市販の配合飼料が利用されていますが、50g会では自分たちで原料を選んで配合した飼料を使っています。
コープしがとなる前の1977年から生協へ出荷。そして、コープしがへも継続して出荷していただいています。現在コープしがが扱う鶏卵のうち、こめ育ちさくらたまごが占める割合は51%と、その数字が人気を裏付けています。
母鶏に与える飼料は、休耕田や転作田を利用して生産した滋賀県産の飼料用米などを配合したもの。飼料用米の配合割合は全体の12%(※)におよび、それが「こめ育ち」の由来です。
ほかに、大豆粕や魚粉を加え、ビタミン類が豊富な生米ぬかや、乳酸菌で胃を良い状態に保つおからを発酵させた飼料は自前で加工しています。気温・湿度の変化や鶏の健康状態によって、即座に配合を変えることができるのも、自家配合飼料の大きな特徴といえます。こうして健康で成育状態の良い母鶏が育つからこそ、おいしくてヘルシーな卵ができるのです。
また、輸入品に頼らず、食料自給を高めることは、食の安全と安心につながるだけでなく、長距離の輸送も不要となるため、CO2削減など環境にやさしい取り組みといえます。また、大手の養鶏業者の多くが鶏糞を焼却処理しますが、安田養鶏場では肥料に加工。その鶏糞堆肥を飼料用米を作る稲作農家に提供することで、農地への還元と保全、つまり循環型農業を実現しているのです。
卵の保存は購入後、家庭では10度以下の冷蔵庫で保存すれば、おいしい状態で長持ちさせることができます。賞味期限を確認してご利用ください。 もちろん、温泉卵やゆで卵にしてもおいしいと評判です。ただ、料理したり、割卵した卵は、早めに食べるようにしてください。