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たべる・たいせつ
「和食」の良さを見直しましょう

 日本の食文化「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、海外からも注目を集めています。日本の国土は南北に長く、海・山・里といった表情豊かな自然が広がっています。新鮮で多彩な食材が各地で用いられ、その持ち味を引き出す工夫がされており、故郷の味としてその地域に根差しています。

 また、一汁三菜を基本とする日本の食事スタイルは、栄養的にもバランスがよく、最大の特徴である「うま味」をじょうずに活かした動物性脂肪の少ない食生活は、長寿や肥満防止にも役立っています。ほかにも、自然の美しさや四季の移ろいを表現するということも和食の大きな特徴で、料理に季節の花や葉を添えたり、季節に合った器や部屋の調度品を変えたりして季節感を楽しんでいます。日本の食文化は、正月料理・ひな祭り・端午の節句といった年中行事や、各地の地域行事と密接に関わっており、自然の恵みである「食」を分けあい時間を共にすることで、家族や地域の「絆」を深めてきたといえるでしょう。

 和食の中身を見てみると、主食のご飯(米)を中心とした「一汁」…だしのうま味・発酵食品であるみそを用いた汁もの、プラス「三菜」…〈主菜〉魚や肉などのたんぱく質のとれるおかず、〈副菜〉五目豆や筑前煮などのしっかりした野菜のおかず、〈副副菜〉おひたしやなます、香の物などの野菜中心の小鉢が基本の献立になります。調理方法も、切る・煮る・焼く・蒸す・ゆでる・揚げる・和えるなど、自然の恵みをおいしくいただく工夫や技法、逆に手を加えない「生もの」というのも特徴です。調味料も塩・砂糖・しょう油・酢・酒・みりん・みそなど多様であり、薬味としてもわさび・しょうが・山椒・とうがらし・ゆずなどが季節感を楽しむアクセントに使われ、「つま」や「けん」などの添えものも芸術的です。

 料理に合わせた器を用い、熱いものは熱く、冷たいものは冷たく…このような「もてなし」の心や「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつは、お互いを思いやる気持ちから生まれた「和」の心が象徴されています。和食と私たちの生活とのつながりを見直し、日本人の誇りとして次世代へつなげていきたいですね。

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